アセットアロケ-ションなるものを、(わずかな)資産を株・外貨に移し始めている今日この頃。ディトレードまがいはやりたくない、あくまで手間をかけずに長期運用!と考えている自分に有用な本でした。特に私が参考とさせてもらったのは後半。景気回復指標としては中小企業景況感指数、景気後退指標としては鉱工業生産指数の「在庫」、景気の継続力の指標としては鉱工業生産指数の「耐久財消費」に注目するということ(納得できる説明付です)。また、月1回、日本株、日本債券、外国株、外国債券についての月間暴落率をチェックし、その動向から行動を起こすなど、「プロが気をつけている観点」を披露してくれているのが大変参考になります。あとは実践することで、「雰囲気で売り買いするあやうさ」から早く脱却しようと思います。
最近巷には素人が株のデイトレードで何億円稼ぐ方法等の書物が目立ってますが、本書はそういった超短期的な投資とは無縁の内容で「真面目に」投資、経済、景気とは何かをレクチャーしてくれる良書だと思います。筆者が推奨する資産運用の方法もバランスを考えた良い方法だと思います。資産分散という意味でのバランスだけではなく、人生時間のバランスとでも言えば良いのでしょうか。投資=金儲けと考えすぎて一生懸命になるあまり、豊かな心や時間をすり減らしてしまう…本書を読んで投資ってもっと楽しめばいいんだという気になりました。
シンプルかつ分かりやすい語り口で、個人投資家の方にとって有意義なのはもちろん、私のようなマーケット経験者にとっても非常に示唆に富んだ本です。この業界、経験があればあるほど固定観念が強くなり、有り余る情報によって物事も見失いがちですが、久しぶりにうわべだけでない、本質に触れた内容の本に出会った気がします。同じマーケット参加者として、著者のような柔軟な感性を失いたくないものです。