データに寄ればこの本は全230ページ。原書である"Presenting to win"は全256ページ。これが何を意味するか。当然、端折られている部分があるということだ。両者を実際に比べてみると章単位での削除はないものの、本文があちこちで間引かれている。原書にはちゃんと巻末に索引もあった。<BR> この本に限らず、翻訳ビジネス書は"編集"されていることが多いらしい。出版側のこうした姿勢を特に責める気はない。これでも9割方著者の思想は伝わるだろう。ただ読者はこうした情報を知らないよりは知っておいた方がよい。<BR> 所詮日本は翻訳文化。原典崇拝主義を掲げる訳ではないが、プレゼンテーションのような、もともと日本になかったスキルならばできるだけオリジナルをダイレクトに学んだ方がよい。よく売れたものならまず平易な英語で書かれている。多少心得のある人は頑張って読もう、そうしたきっかけになるかも知れない。<P> 内容はとても素晴らしい。現状多くの"プレゼンテーション"は単なる「説明」に過ぎない。ここで扱うのは「説得」の方法だ。顧客の気持ちを動かす話法はもちろんトピックの構成やグラフの並べ方等資料作成上のとても細かい点まで書いているが、同時に技法に溺れないための対処法にも触れているのが単なるマニュアル本と一線を架す。<BR> 最も感銘を受けた部分はその哲学にある。「一番訴えたい内容はパワーポイントスライドのどの辺に入れるべきか?」。答えは「(プレゼンをする)あなた」。資料に語らせるのではなく、あなたが語るために資料はあるのだ。<P> ちなみに、プレゼンの一部とも言える、「質疑応答」に関する言及がないのを物足りなく思っていたが、近日"In The Line Of Fire: How To Handle Tough Questions When It Counts" ということで、同じ著者の続編が出るようだ。
数々の実績を残したプロフェッショナルが解説する、プレゼン指南書。<BR>いわゆる成功体験という書き方ではなく、体系的に書かれているので非常に読みやすい。<P>また、プレゼンの「目的」WIIFYから、パワーポイントのスライドの見せ方、間のつなぎ方など、プレゼンが実際に行われ、観客のフィードバックが得られるまでを詳細に解説している。<BR>どのようなアクションをすればどのようなフィードバックが得られるか、具体例を挙げているのも良い。<P>もちろん大切なのは序盤の本質の部分だが、プレゼンの展開パターン、間の取り方、導入の仕方など、部分的に読むだけで明日からでも「使える」本だと思う。<P>プレゼン1週間前に復習し、自分のプレゼンを修正する、というような活かし方が良いのではないだろうか。
ハリウッド出身で、プレゼンテーションのコンサルタントである著者が、自身の経験を織り交ぜながらプレゼンテーションのノウハウをわかりやすく解説しています。<BR>プレゼンに対する心構えから、すぐに使える具体的なテクニックまで、内容も非常に豊富です。それでいて、くどくなく、必要十分な量にまとめられています。よくある小手先のテクニックを解説している本とは違い、本質を説いているという感想を持ちました。<BR>また、わかりやすく説明する技術の解説書ということもあり、非常に読みやすく、読み始めたら止まりませんでした。