日本に暮らすあなたが買い物や寄付などお金を使う行為を通じて、遠い街や外国に暮らす子供や障害者や女性たちの人生を積極的に大きく変えることが出来るかもしれない。そのことを説く書です。<BR> 例えば100円あれば「ホンジュラスの人たち10人にエイズを引き起こすHIV感染について伝えるパンフレットを配ることができる」ことや「カシューナッツの苗木が2本買え、インドの少数民族が暮らす森が再生できる」ことを教えてくれます。<P> 無農薬有機栽培を続ける愛媛県の農業集団から私が毎年ダンボール3箱分のみかんを買うようになって20年近くが経ちます。もちろんみかんくらい近所のスーパーでも買えます。ですが、農薬と化学肥料を使って効率よく大量生産したみかんではなく、少々値段が張る彼らのみかんを送料まで負担して購入するのは、彼ら生産者がふるさとにダメージを与えない農業をしたいという思いを行動に換えて頑張っていることを私が知っているからです。<P> まさに「知る」という行為が生む力の大きさを本書は教えてくれています。<BR>現代社会はモノを作る人々とそれを消費する人々との間の距離がとてつもなく隔たってしまいました。ですからたかだか100円程度の消費活動が、遠くにある生産地に大きな影響力を行使できるということを私たちは時に忘れがちです。<P> これから本書を手にする読者はまず130頁にある企業コンサルタント・斎藤槙氏の文に当たることをお薦めします。氏の文を読めば、本書をいかなる視点で読んでいくべきかがより明確になることでしょう。氏が言うように、消費者は消費を通じて社会的責任を全うしようとする企業に「一票を投じる」ことが出来るのです。<P> 本書はそれぞれの項目に関連するNPOサイトのURLを掲載するなど、読み手の背中をやさしく押す心配りがされています。<BR> 本書が多くの読者の生活をちょっぴり変える手立てになれば、それは素晴らしいことです。
この本は100円から数万円でどのような社会貢献ができるかということを紹介している。それは募金であったり、障害者が作ったパンを買うことであったり自然保護の為に皆で森を買うことであったり様々な方法を提示している。<BR>また私達、消費者側が商品を購入する際にお金で世に一票を投じるという意識を持てれば、それがやがて社会を変えてゆくのだと論じている。<BR>私達、消費者にはなかなかその商品の背景まで見えてこないのが現状であるが、選択するという意識が大切であると思わせてくれる。
お金の使い方を選択することにより世の中にどう影響を与えるかを考えるきっかけとして良い本だとおもいました.また,書き方が身近な例を多用したものなので,とっつきやすいと思います.NGOの連絡先も紹介されています.<P>ただし,全体的に記述が極端に簡略化されている(というか浅い)ため,「それは何日あたりの金額なの?」とか「一時的に可能なのか半永久的に可能なのかどっち?」とか「流通やリサイクルのコストを無視していいの?」とか思ってしまう部分が多々あります.<P>提案されているお金の使い方に対するありがちな質問や反論が紹介されていないことが非常に残念ですが,それでも,考えるきっかけとしては良い本だと思います.