読み終わったとき、衝撃を受けた。<BR>幕末に生きた少年たちが凄く身近に感じられていて、それ故にラストは打ちのめされたような衝撃を受けて、しばし放心してしまった。<BR>この人の作品は自分の生きている時代ではないのになんて実体験のように感じられるのだろう。
3人の異なる個性を持つ少年達が時代のうねりに翻弄されていく様がさらりとした画風の中に描かれていきます。一人は流れ弾に当たって死に、一人は自殺、そして一人は新しい時代に一人生きる事に。<BR>確かに生きた、思った、感じた、そういった人間の生きた証しを思い起こさせる作品です。<BR>作中で少年の一人がする羽化したての蝉の話。夢を見ているようだったという台詞に凝縮された深い戸惑いや苦悩。<BR>いまも世界のどこかでこの3人の様な少年達が生き、そして死にあるいは生き残っているに違いありません。たまらなく切なく、そしてこれが私達の命の歴史の中にくっきりと刻まれていることを思い起こさせてくれます。<BR>作者が20代の頃の作品、というのは驚きとともに、なるほどと納得もさせられる、秀作です。
江戸末期、無血開城により江戸に入った官軍とそれでも幕府を守ろうとする彰義隊。この衝突である上野戦争を背景にした作品。しかし、彰義隊や上野戦争は設定の一部であり、物語の主役は市井の人々。幕末グラィティーと言い切ってしまうほど軽くは無いが。重くも感じさせないのは作者のタッチのなせる業か。<P>ただ、登場人物の描きわけがわかりづらく、何回か読み返さないと誰が誰だかわからなくなってしまうことがある。