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| 百日紅 (下)
(
杉浦 日向子
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其の十八『酔(すい)』に、酒豪で知られた花魁、滝山と、歌川国直の酒合戦が描かれていますが、これが秀逸。<BR> 北斎の居候、池田善次郎から酒合戦の誘いを受けますが、その場では「おいら師匠と禁酒の約束をしてんだ」と断ります。善次郎が去った後、弟弟子の国芳に、「さて芳さんいこうか」。<BR> 「どこへ」「滝夜叉(滝山のこと)姫のとこへ。強いられて飲む酒はうまかねえからてめえで行くのさ」「豊国との約束は?」「芳さん大丈夫だキン酒は近い酒と書く奴サ」。<BR> なんとも粋ですねえ。<BR> 酒合戦は「アラキ」という、度数の非常に高い蒸留酒で行います。さて、その結果は...皆さん読んでみて下さい。そして艶かしくも雅びな江戸の風に当たってきてください。
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