ここまでしっかりと組み立てられたバタイユ論はなかったという意味で、読んでとてもよかったが、ここまでバタイユの心性に響かない論述もなかったという意味でひどい嫌な本であった。
バタイユの生い立ちからはじまり、その人生と著作を年代順においながら、バタイユの考えを説明してある本でした。バタイユ自身の著作の引用は、同じような思想の入門書と比較し、かなり少なめの印象です。そのかわり、筆者自身の考える「バタイユ」、バタイユの行動、またバタイユが影響をうけた思想家(中でも、ヘーゲル、フロイト、ニーチェ)の考え方、またバタイユの思想を批判したハイデガーの考え、等がしっかり説明されています。<P>バタイユの思想は、かなり難解なのだと思います。が、キモとなる概念がしかり説明されているためか、この筆者の考える「バタイユの思想のキモ」みたいな部分は、理解できた気がします。ありがとうございました。
バタイユの思想は錯綜を極めわかりにくいが、『バタイユ入門』での酒井氏の解説は、目配りがきいていてコンパクトにまとまっている。入門書としては断然本書だろう。本書を読み『G・バタイユ伝』(河出書房新社)を読めば、バタイユを読む上での基礎的な知識を得ることができる。<P>余談だけど、そろそろバタイユを新しい切り口から語ることのできる論者はでてこないものかな?