戦後の日本の復興からバブル経済を経て現在まで。それぞれの章も長くなく通勤時に読むのにもってこいでした。この種の本にしては書き方も平易で読みやすいと思います。いままでちょこちょこと仕入れてきた知識を一度総整理する為の流れをつかむにはちょうどいいかもしれません。文体にやや癖があり、駄目な人には書きぶりが気になるかもしれませんが。他の本とあわせるとなお良いかなあと思います。
例えば、小泉首相の「構造改革」は、本人が言うような「成長」はもたらさなかった。しかし、その思想は正しい。タイミングが悪いだけ。ただし、発言の勢い程の実行力を伴ったものではなかったため、景気に悪影響は及ぼしていない──なぜか。本書は非常にわかりやすく、その理由を書いている。<BR>理詰めで、なおかつ事実を積上げて、日本経済と経済学を解説しているので、理解しやすく、納得がいく。<BR>年金問題や財政赤字は深刻だ──どうすればいいのか。その答えも理論的に、かつ平易に書かれている。何もしないでいると、最終的には、現役世代や若年層が、破綻のツケを払うことになる。<BR>一人でも多くの人に読んでもらいたい、というのが最終的な読後感です。
岩田規久男『日本経済を学ぶ』ちくま新書。<BR>これ以上何を迷う必要がある?すぐさまクリックせよ、以上。<P>というのはちょっと不親切かもしれない。<P>著者は岩田規久男である。経済学者、エコノミストを親の敵のように思っているのではないかと思われるあの辛口評論家東谷暁ですら、敬意を払わざるをえなかった日本の良心的経済学者である。これまでの主張を知らない人には日本経済を語る最適な人物とだけいえばよいだろう。これまでの主張を知っている人にも特典はついている。ここでは岩田氏の遍歴がところどころに盛り込まれていて、いわば岩田氏の自分史が語られている。また、最近のいわゆる景気回復の原因についても、思いつきでない、きちんとした分析がなされている。<P>題材は日本経済である。それを岩田氏は一般読者向けに公開講義をするかのように語る。その範囲は網羅的で、内容は正確。第二次世界大戦後の歴史、高度成長、日本的経営と企業統治、産業政策の評価、マクロ経済と財政金融政策、規制緩和、環境問題と、「日本経済を学ぶ」という本を手に取る読者の要望に十二分に応えている。読者が「おや?」と思うことがいくつも出てくるとしたら、それはこの本の内容が正確な証拠だ。<P>そして新書である。値段は千円札でおつりがくる。なんとお得な。最近のいわゆる景気回復で懐が暖かくなった人はもとより、まだデフレに苦しんでいてなかなか書籍代が捻出できない人にも朗報である。<P>一つだけ残念なのは、環境問題と岩田氏との自分史をもう少し語ってもらいたかったことだろうか。岩田氏は経済学者としてはかなり早い時期から原発問題や環境問題に関心を寄せ、環境税なども提言してきたからだ。とはいえ、これは望蜀というもの。<P>まだ迷っていますか?