守備範囲の広さ、明快な解説が素晴らしい。独特のチャートも、いいアクセントをなしている。ただ、ひとつ難を挙げるなら、最終章のバタイユに関する記述だろう。ご存知のとおり、竹田は、「欲望相関図式」を掲げ、「エロス的現象学」を提唱している(竹田青嗣『現象学入門』NHK出版、同『はじめての現象学』海鳴社など参照)。最終章では、こうした竹田自身の理論と、バタイユの理論が、渾然一体となっており、誤解を招きやすいのではないか。この点を除けば、再読、再々読にも値する、「座右の一冊」となりうる。橋爪大三郎『はじめての構造主義』、浅田彰『構造と力』との併読を薦める。
とても読みやすいです。たくさんの思想を俯瞰し、そのなかで、現代思想がどのような位置づけにあるかを、比較し、位置関係を確かめながら、分かりやすく解説しています。初心者でも思想世界全体を見渡しているような爽快感が味わえます。<BR> ようは、現代思想を知るのに、現代思想だけを読んでいては、道に迷うわけで、思想世界全体における、現代思想の位置がわからないと、現代思想のそもそもその意義がよく分からない、というわけです。そこで、この本は、デカルト、カント、ヘーゲル、マルクスといった、近代の思想や、ニーチェ、フッサールなどとの位置関係まで踏まえて、ソシュール、デリダ、ボードリヤール、ドゥルーズ、サルトル、キルケゴール、ハイデガー、バタイユを見ていきます。<BR> この人のスタンスは、西研氏や橋爪大三郎氏と似ていて、現代思想に対して、わりと懐疑的なところがみられます。
哲学の初歩を学ぶのに最適の本だと思います。難解な現代思想ですが、比較的易しい言葉で、丁寧に現代思想の流れと、その全体像を描いています。