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| デュシャンは語る
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マルセル デュシャン
ピエール カバンヌ
Marcel Duchamp
Pierre Cabanne
岩佐 鉄男
小林 康夫
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便器をアートにした男=デュシャンが晩年に語った言葉は、至極常識的で、気持ちいいぐらい肩に力が入っていない。それだけでなく一見こだわりがないかのように見える彼の言葉の端々から、変に頑固な顔が垣間見えるのがおもしろい。 マルセル・デュシャンと美術評論家のピエール・カバンヌの対話形式を取り、デュシャンが生い立ちや交友関係、自分の作品について幅広く語っている。「私はとても幸せです」という最後の言葉が印象的。チェスや言葉遊びを好むデュシャン自身が語る、拒否された『階段を降りる裸体』、運搬中にひびの入った『大ガラス』、抹殺されたレディ・メイド『泉』など作品にまつわる裏話を含め、現代芸術の父と呼ばれる人物を窺い知ることができる。 デュシャンの考え方。モノの捉え方。そんなことが分かったような気がします。ぼくもデュシャンも大差がないこと。普通に生まれて普通に生きる。そんなあたりまえのことが幸せであること。オススメです。
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