「なぜ敬語を使わなくてはいけないのですか?」という質問に橋本治が答えている本。 「敬語がなぜあったかというと、昔は身分制度があったからです。士農工商、侍が一番偉くて次は農民。次は職人、商人という風に。だから誰が偉いか誰が偉くないか昔はハッキリしていた<BR> ところが明治時代に一応みんなが平等と言うことになったんです。みんなが平等なら敬語は要らないとキミは思うだろうけど敬語は残った。形を変えてね。つまり現代の敬語は「私とあなたには距離があるという意思の表明」なんです。ということはどういうことか。つまり道でチンピラにからまれた時どういう口の利き方をするのが正しいかということです「なに見てんだよコラ」といわれた時なんて言います?そういう時はね「みてねえよ」ってため口を使ったらダメですよ。必ず「なんですか?」って敬語を使わなくちゃいけない。なぜかというと敬語は「相手が偉いから使う言葉」ではなく「私とあなたには距離があるという意思の表明」だから。<BR> キミたちは「うざい」という言葉を使うでしょう。「うざい」という言葉がどういう意味かというと「私とあなたはもっと距離を置くべきなのにあなたはそれに気づかず私のスペースに入り込んでいる。邪魔だ、あっちいけ」なんです。「うざい」という言葉を使うキミたちは当然人から「うざい」とおもわれたくないでしょう。だから相手と上手く距離を取れるようになるためにキミは敬語をきちんと使えるようにならなくちゃあいけないんだよ」<BR> 子供向けにかかれているのでわかりやすく、量も短く、値段も安いのでオススメです
最初に書いてある通り、「正しい敬語の使い方を教える」マニュアル本ではなく、「いったい敬語ってなんなんだ?」っていうことについて書いてある本。こういう視点はおもしろい。 <P>すごくはしょっていうと、敬語っていうのは、距離を作ったりなくしたりするものだ、ということが書いてある。その通りだと思う。心理的距離の遠い上司・先生には、尊敬語・謙譲語を使う。敬語でない言葉=タメ口は、心理的距離の短い、仲のいい間柄で使われる。また、同時にそれは、「ひとりごと」の言葉でもある。距離ゼロの言葉だ。 <P>「タメ口は、『ひとりごとの言葉』でもあるのですから、そんなに親しくない人相手にタメ口を使ったら、『声に出してひとりごとを言っている」とおなじことになってしまうのです」という説明がいけている。ときどきタメ口を聞いたときに感じる違和感は、これだったのかもしれない。 <P>「ちゃんと話すこと」を知るためには、敬語の使い方を知るよりも、敬語がどういうものなのかを知ることの方が重要だと思う。そういう本だ。十代前半の読者を念頭に置いているらしいけど、十代に独占させておくにはもったいないと思う。
「正しい敬語を使いましょう」という本ではありません。<BR>現代では、くずれている敬語を使うのが当たり前だそうです。<BR>正しい敬語を使うと、職員室に入るたびに「参上いたしました。」とか言うらしいですよ。<P>10代向けの本だけあって、かなり易しく書かれています。<BR>国語で敬語をまだ習ってない年の子には難しいかも知れませんが、中学生や高校生にぜひ読んでもらいたい本です。<BR>「どうして敬語をつかうの?」という素朴な疑問に答えがでるかも知れません。