いわゆる「デザイン論」をあつかう本はあまたある。<BR>例えば、これからのデザインはどうあるべきか、デザインにいまなにがもとめられているのか、デザインはいつでも社会をうつす鏡だった…というような、「デザイン」の周辺をうろうろしてけっして核心にふれないような本である。<BR>しかし、この『デザインの生態学』は「デザイン」そのものを実践者の立場から、正面切って率直に論じている画期的な本で、これから決定的に重要な本になっていくと思う。<BR>デザインとはそもそも何か、どのような発想と判断とプロセスを経てデザインが成り立っていくのか、過去から現在までの良質で豊富な実践例をあげられながら、しかもアフォーダンスの視点も組み込みつつ、デザイナー/建築家の実制作に役立つ「デザインの生態学」という大きな試みが、深澤直人と後藤武と佐々木正人のリアルな語りをとおし提示されている。<BR>しかも付録や用語解説集が充実していて、これらを読むだけでも現代デザインのことがよくわかる。とくに巻末名言集はめちゃくちゃおもしろい。デザイナーや建築家、美術家が何を考えて物づくりをしてきたのかがわかる。<BR>一気に読めるが、読み返してもまた楽しい。
まだ、全部読み終えてはいないのですが、恥ずかしいことに9割内容が難しすぎて理解できない状態です。色々なデザインが載っていて参考になるかと思い購入したのですが、デザイン論的な内容で、その道に携わって長い方でないと中々理解できないと思いました。自分は普通に小~高校で美術を習っただけの人間なので、今回は星一つにしました。ですが、これから学をつけていけば必ず参考になる内容だと思うので、読み終えても大切にとっておいて、いずれ理解できるようになりたいと。その時は星五つ付けます(自分の中で)。
~「新しいデザインの教科書」と副題にあるが、読み終えてその言葉に偽りはないと思います。生態学者の佐々木氏・プロダクトデザイナーの深澤氏・建築家の後藤氏がそれぞれ中心となる3つのディスカッションと、中心となった人物がそこに考えを付け足していくという構成。さらに参考図書リストや、言葉の解説、歴史上の人物の名言集も収められています。<P>~~<BR>流行りの「アフォーダンス」や「生態学的視覚論」に関して、佐々木氏が解説しており、正しい理解をえることができる。それをどうデザイン・カタチへと実践していけそうか、はたまたされてきたのかを、深澤氏・後藤氏が様々な事例を紹介しながら解説しています。<P>~~<BR>私は生態学的視覚論やアフォーダンスの勉強をしていますが、それでもこの本から学ぶことは非常に多かったです。アフォーダンスに対して誤った理解がされていることが多々ありますが、この本を読めばアフォーダンスがなんなのかを知ることができると思います。<P>~~<BR>中でも深澤氏の文章には非常に興味をそそられました。デザインだけでなく言葉に対してもミニマリスト。文章自体が非常にシンプルですが、それでいて的確で共感を呼ぶその語り口にどっぷりはまってしまいました。私たちに馴染みのあるプロダクトを紹介しながら、というのも非常にわかりやすくてよいです。<BR>~~<BR>後藤氏の部分は、アフォーダンスとは離れますが、建築というプロダクトよりも大きなスケールで、デザインにおける「関係性」=生態学を解説してくれています。<P>如何に世界を見るか。その新しい方法論を見せてくれているような気がします。<BR>とにかく一冊持っておいて損はないと思います。~