キャリアデザインを考えるべきというある種の強迫観念にとらわれている人には一息つける内容。人生そんなに簡単に向いている仕事、本当にやりたい仕事なんで見つからない、だったらその時々に熟考して進むしかないことを改めて気づかせてくれる良書。 こんなキャリア書が今までありそうでなかった。
この本は自分がが直面する「実績主義」や「キャリアアップ」が本物なのかを見極める良き指標になった。決して表面的なHowTo本ではなく、人生の中でキャリアを積み重ねることの意味を考えるきっかけとなった。「(人と同じものを求めるのではなく)人とは違う何かを模索する中で自分が大切にする価値観が浮かび上がってくる」といった説得力のある記述が随所にあり、つい読み返してしまう。
「キャリアショック」の由来は、何が起こるか分からない今日この頃、会社の事情である日突然自分のキャリアが陳腐化してしまう「ショック」があなたを襲うかもしれない、というもの。まあそれはさておき、この本の面白いところは、キャリアに名を借りて要は「やりたい仕事をするには」といった視点から実践的なアドバイスがあるところです。<P>MBAなんて取ってもどうなるか分からないしリスクを冒しても何か好ましい偶然を起こそうとする動機が大事、とかリーダーにはWHAT構築能力が大切、「非計画的な仕事の拡張」「計画的キャリアチェンジ」は現実的ではない(逆が好ましい)、何より働く自分の動機を重視すべき・・。<P>実際に自分の仕事の中で自分のやりたいことを見つけて(そのためには色々と経験しなければならないのだけれども)、面白いなと思ったことに発展的にかけていく現実的なキャリア形成のアプローチとそのための能力開発のヒントが書かれています(闇雲に転職を勧めるわけでは決してない)。仕事にマンネリを感じる向きにお薦めかもしれません。