2003年出版のため、株式の税制については、古い内容になってし<BR>まっている。<P> しかし、それ以外の税金や負債と資本の違いなどの記述は分か<BR>りやすい。架空の会社「さる」を持ち出して、B/Sを分析して<BR>いるところは、なるほどと膝をうった。<P>出資者:信長君(Equity)資本<BR>債権者:家康君(Debt)負債<BR>経営者:秀吉君<P> とそれぞれの役割と、リスクとリターンを記述している。<P> 外貨預金と外貨MMFの違いなども詳しく書いてある。簡単そう<BR>なのだが、かなり専門的な書籍なので、この手の本が始めての人は<BR>途中で挫折してしまうと思う。私も、それなりに金融の知識がある<BR>のだが、7割は斜め読みで飛ばしてしまった。それでも、ところど<BR>ころに分かりやすい記述があり、役に立つ。
新証券税制がはっきりする前の出版なので、2005年6月現在では、改めて調べなおすべき部分も多々あります。しかし、それを差し置いても、投資商品と税金との関係を把握したい人にはお奨めです。<BR> 「いかに無駄に税金と搾取されないようにするか」の視点で書かれているので、多分他の税金関係の本よりも、読みやすくなっています。<BR> 様々な投資商品を比較しながら書いてあり、いかに日本の税制が場当たり的に「取りやすいところから取る」という視点で作ってあるかがわかります。こんな風に、一つの視点から、税のあり方を書いた本って案外ないのではないかと思います。<BR> 何だか、この本を読むと、今の税制って役人と議員が自分達に都合の良いように、長期的視点など何もなしに作ってんだろうなあ、と思い、これでは日本の活力がそがれるのは当たり前、と思ってしまいます。「とおりゃんせ方式」でババをひくのは私たちと私たちの子供の世代だと思うと腹立たしいばかり。かといって税金を払わないわけにも行かない勤め人ですので、せいぜい、税金のコストに気をつけて投資をしようと思います。けっして、外貨預金などしないように…。
順番から言うと、本シリーズは「2 タブーとリスク編」から読んでいくことが適当な本なのだと思います。シリーズ1作目の本著は、税金がいかに投資のリターンを蝕んでいくか、そして日本の税制がいかに投資商品の性質を飛び越えて一貫性のない課税をしているかということを説きます。その中で、投資家としてはどの商品を選ぶのがいいのか、出版当時の税制をもとに具体的な数字を挙げて論じます。タブーとリスク編に比べれば、各論編の色彩が強いです。<P>やはり記述があまりにもくだけており、まともに取り合う気になれない真面目な人も多いかと思いますが、投資を始めていまいち儲からないなぁ、と思っている人は、実は細かい落とし穴があることに気づいていないことが多いと思います。本書では直接とりあげていませんが、税金のみならず、民-民の契約に基づく手数料や、さらには商品そのものの設計においても実は似たようなお金のむしりかたをするものがあまた存在します。例えば私はかつて某銀行の外貨預金まがいの某商品をじっくりみて、腰を抜かしそうになったことがあります。本書の外貨預金vsMMFの税制の相違を類推すれば気づくはずのものです。また、一時期流行ったEB債の利害損得だって、本書の記述の延長線上にあるものといえます。<P>本書は、具体的な知識としては陳腐化していくばかりの細かい知識が多いと言えばそうですし、その意味で見るべきものはないと評する気持ちも分かりますが、そういう人は投資中級者なのであって、本書のような考え方をじっくり咀嚼して、細かいところで税金や手数料にむしられない賢い投資家になるための、そして長い目で見て、運用商品の特性(課税制度も含めた)を比較して商品間の資産配分のためのアイデアを得るための、わかりやすい良書だと思います