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評価される博士・修士卒業論文の書き方・考え方 ( 新堀 聡 )

大学生が卒業論文を書く前に、<BR>1.論文とは何か<BR>2.論文の形式的要件<BR>3.書くに当たっての注意点<BR>を明確に記述してあるこの本を読むべきです。<P>修士論文を書いたことのある私も、この本を事前に読んでおけば、と後悔し切りです。<P>論題は“狭く深く”はいい得て妙です。

「論文」と名乗る資格のある文章群について、そのための実質的・形式的要件をわかりやすく解説しており、大変参考になった。アカデミズムの世界にいる人にとってはどれもだいたいはわかっていることだと思うが、系統立てて且つわかりやすく解説を加えている点は有益である。<P>まず、そもそも「論文」とは何かという定義から始まり、論文であるために必要なものを「先行研究業績の精査・分析」「そこから生まれる独自性・創造性」「学問の発展への寄与」としている。以上が論文の実質的要件となる。さらに論文の形式的要件として、文献引用システムの重要性が、口が酸っぱくなるほど唱えられている。というのも、それが盗作問題を回避する最も有効な方法だと著者が確信しているからである。<P>実際には雑誌や大学によってそれぞれルールは違うと思うので、そのたびにいちいち参照しなくてはならない。しかし、最低限のルールは本書で知ることができるし、それぞれの引用システムの長短を知っておくことも有益だろう。

卒業論文、修士論文を書く学生には参考になると思う。本書では先行研究レビューの重要性が強調されているが、著者が嘆いているとおり、そのような論文のルールは大学ではきちんと教えられていないし、それを守っていない研究者も少なくない。ただし、本書に書いてあることは最低限の常識であるため、ある程度それをわかっている人には、あまり役に立たない。私は博士論文を執筆中で、何らかの知見や具体的アドバイスが得られるのを期待していたが、そういう意味では期待はずれだった。そもそも、卒業論文と博士論文についての助言を一つの本にまとめるということに無理があるのかも知れない。

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