今まで、経済学を勉強された方には、次のようなことをお感じになったことが多いと思う。 基本書といわれる学者先生のお書きになった本では、あまりに簡潔過ぎて、論理がつながらなかったこと。自分が聞きたいのは、そこじゃなくて(前提と結論はわかるのだけれど)、そこに行く過程を知りたいんだとか。 いわゆる試験対策本では、やさしく書いてあるのはいいが、その部分の議論が全体の中でどういう位置付けになっているのかわからない。結論だけまとめてあって、整合的に理解ができない。 これらの悩みをすべて解決してくれるのが、本書であると私は思う(少なくとも私にはそう感じた)。初学者はもちろん(かく言う私自身、経済学部のものではない)、ある程度勉強が進んだ人にもお勧めする。後者に属する人はそれほど、時間をかけずに読み終えることができよう。読み始めると、とまることができないほど引きこまれる本である。そうだったのか!そうだったのか!と、知的興奮を感じながら、数日のうちに読み終わってしまう。読了感は、まさに圧巻。知的好奇心が満足されきったという静寂、なんともいいがたい、落ち着きが、しばらく心を支配する(はずである)。 今まで、釈然としていなかった部分が、晴れ渡り、それはまるで、霧や暗い夜道を歩いていた登山者が、山の頂上から、眼下に広がる経済学という山の裾野を眺めるようなものである。今まで、自分がたどってきた道、悩んだところ、躓いたところさえ、学問体系全体の中で、把握できるようになる。 頭をリフレッシュしたい!と思うときにもお勧めである。脳細胞が一挙につながっていくダイナミズムというか、知的興奮をぜひ味わっていただきたい。ことに、受験勉強は苦痛である、退屈な作業である。ならば、わずかでも、そこに新鮮な輝き、一陣の涼風を入れてみてはいかがか。 全体の整合的理解、論理関係の把握は論述試験には絶対必要不可欠のものだが、択一式、穴埋めなどの暗記問題形式であったとしても、暗記すべき事項がぐんと減り、かつ、格段に暗記しやすくなっているはずである。そう考えると、結果的に省エネになるのである。問題形式の如何を問わず、広く推薦したい一書である。数学的素養を一切必要としない、私大文型人間にもやさしい本である。
公務員試験を受験予定の大学生です。経済が一番苦手で、いろいろの本を読んでみたのですが、私には難しすぎて最後まで読むことができませんでした。でも、この本に出会って感謝です。この本は、簡単な言葉で、数式もあまり使わず、具体的で、文系の私には非常にわかりやすい本です。この本で苦手な経済を克服して、受験にがんばりたいと思います。
とにかく、わかりやすい。今まで、悩んでいたことを解決できる本だ。<P>この本は、3面等価の原則や、貨幣市場、LM曲線など、今一つ分からず悩んでいた部分を分かりやすく解説しているしている。分かりやすさの理由は,「繰り返し」と「言い換え」である。<P>著者は、読者がどの部分が分からないか熟知している。分からない部分になると説明を繰り返し、しかも、言い換えて説明する。だから、最初の説明で今一つわからなくても、次の説明で「なるほど」とうなずける。<P>また、この本は、最初の「経済学の全体像」で、古典派とケインズ派の違いを単純明快に説明している。両者の違いは、ここまで、単純だったのか!と思わせるほど単純明快な説明だ。しかし、他の本を見返しても、実は言っていることは同じではないか!物事の本質を単純明快に説明する本として、この本の価値は大きいと思う。<P>はじめに、この本で勉強すればこれほど苦労しなかったのに!と思わせる、秀逸な経済学の基本書であると思う。