コーポレート・ファイナンスをキーワードに、検索してみてください。<BR>何千円もして、分厚いテキストばかりが出てまいります。<BR>購入するのがためらわれますし、難解なものも多いようです。<BR>そんな中、燦然と輝くのが、本書です。<P>安い。薄い:160ページしかない。もちろん中身は充実。<BR>分かりやすい:経営について本当に無知であっても理解できる。<BR>シンプル:事例や歴史的経緯などは別に分けてあり、混乱しない。<BR>より高みへ:次を目指すための土台として100%機能する。例えば他のテキストで勉強中、わからない事柄が出てきても、本書を再読することによってほとんど解決する。<P>ファイナンスとは何か。そんな原理原則を、こころから丁寧に教えてくれる名著です。
欧米諸国で標準(スタンダード)となっている現代ファイナンス理論の体系にもとづく素晴らしい入門書である。残念なことに従来の類書は同じような書名であっても、理論的におかしいものであったり、法律や制度に重点をおいたものであったりした。<P> 著者の立場からみて、コーポレート・ファイナンスは入門書を書くのがかなり難しい分野のひとつではないかと思う。<BR> 第一に、説明の順序が難しい。前のほうで書いてあることを十分に理解するためには、実は後ろのほうで書かれている知識が必要になる。かといって前後を入れ替えると、また同様の問題が別のところで発生するといった具合に、パズルを解いているような作業になる。<BR> 第二に、本当にわかりやすい説明をしようと思えば紙幅がいくらあっても足りない。必要不可欠の入門的内容を新書サイズにおさめるのは至難の業である。ある程度のレベルの読者に対しては、分厚いものを書けば冗長になりかねないし、本当の初心者に対しては、コンパクトにおさめてしまうと思わぬ誤読を招いてしまう。<P> ところが、本書はこれらのジレンマやトレード・オフを、従来のテキストよりも上手く解決しており、おそらく配列とトピック絞り込みについて最善策に最も近い位置にあるのだと感じる。まさに最初に読むべき本として、本当の意味での入門書に仕上がっている。現時点で従来の類書のどれよりも素晴らしいと考えます。<BR> 本書はファイナンスの「はいりやすい」入り口であるから、これを読んだあとに分厚い初級テキスト(Ross=Westerfield=Jaffeの「コーポレート・ファイナンスの原理」やBrealy=Myersの「コーポレート・ファイナンス」など)に進むのがよいと思われます。
コーポレートファイナンスのエッセンスを文庫本という限られた分量でまとめあげたのは見事だと思います。まさに入門書としては最適でしょう。特に冒頭で「ヒト・モノ・カネ」の経営資源に触れ、「ヒトに対しては人件費、モノに対しては原材料費等、そしてカネに対しては資本コストを負担している」と表現されている部分は、これまで日本企業の間で認識が希薄とされてきた「資本コスト」の重要性を強調するうえで、非常に本質的な説明だと思います。<BR>ただ、本書の中で一点だけ気になるのは、リアルオプションの説明部分です。他の文献でもたまに散見されるのですが、本書でリアルオプションだとして説明されているものも、あくまで「複数シナリオによる期待値の計算」にすぎず、決してリアルオプションとは言えないのではないかと思います。<BR>この考え方が色々な文献の影響で横行してしまうのは非常に危険だと思うのですが・・・。