CSRが注目されるようになった背景、企業倫理や、環境経営との関連、各国の企業や国のCSRへの考え方や取り組みの事例、日本の代表的な企業の取りくみ等です。具体的な実施手順に関しては、薄めです。特に筆者の属する日本IBMの事例は、体制や取り組み内容などが具体的に説明されています。CSRの多く捉えかたを紹介した本です。事例や多くの捉えかたが紹介されていたためか、ちょっとピントがぼやけた印象でした。一気に理解できる範囲を超えました(すいません)。ある程度の知識があれば、CSRが包括的に整理できて、頭に入るんだろうなぁ、という印象の本でした。
CSRの本質とは、実は企業のみならず21世紀に生きる私達人類共通のテーマであることに気付かされます。今まで解ったようで実は解っていなかったCSRの実体も本書が解き明かしてくれます。CSRを表層的な手法に終始させるのではなく、哲学的にその本質を追求する必要があるという筆者のメッセージは読者の心に熱く響きます。本書は単なるCSR入門書の域を超越した、いわば宇宙船地球号の針路を正しく導くためのバイブルのような気がします。企業人だけでなく老若男女誰が読んでも為になる本だと思います。特にこれからの日本社会をリードする多くの若い人達にも読んで頂き「持続可能性」という認識を共有できれば素晴らしいのではないでしょうか。
近年よく耳にするようになったCSR。いまだ確定された定義はないなかで、読みやすい構成や豊富な最新データで読者をリードしてくれる。待ったなしの地球環境問題に危機感を強くし、生態系という視点を中核に置き、CSRの本質を説く。著者の熱いメッセージが強く感じてとれる一冊である。スパイスのきいたコラムで一息つくのもよい。