知っている史実も、こういう見方で見れば更に興味深い。<BR>バトル・オブ・ブリテンとスターリングラードが私の守備範囲。<BR>まだ読書中です。<P>双方とも防衛戦ですよね...<BR>ならばクルスク戦車戦とかあっても個人的には更に良かったですが。
20世紀における世界各地での紛争・戦争における逆転の事例を集めて戦略論に昇華しようとした意欲作ではあるが、ビジネスに適用するのは難しい。<P>示唆深い事例、例えば、ナチ対イギリスの制空権争いでは、ヨーロッパ大陸における迎撃に重点を置いて開発されたメッサーシュミット等の戦闘機が長距離攻の伴うイギリス侵攻においては本来のポテンシャルを発揮できず、最終的に失敗に終わるというようなストーリーは、つまるところ戦略資源と戦略が一致していることが、戦略資源そのものの優劣や量よりも大事だという教訓として学べるのだが、いかんせんこういった形での抽象化があまり本文中で行われていない上、紛争・戦争というシチュエーションの特殊性ゆえにあまり経営戦略や経営科学に携わっている人間に取って学びとることは少ないように感じた。<P>戦史好きの人にはデータが細かく記載されているので良いかも知れませんが、ビジネスマンが何かをそこから学ぶのは難しいと思います。
本書の最後で「戦略の本質」が定義されています。いわく、『存在を賭けた「義」の実現に向けて、コンテクストに応じた知的パフォーマンスを演ずる、自律分散的な賢慮型リーダーシップの体系を創造することである』。なんのこっちゃ?<P>でも、この本を読めば著者の意図することはわかります。この最後の定義を説明するためにそれまでの9章が割かれているわけですね。戦略というのが大変な難作業だということを思い知らされます。<P>全体的には、同じ著者群の名著『失敗の本質』に比べると読者の受けるインパクトが小さい、と感じざるを得ませんでした。両著とも実際に起きた戦争の中での戦略の巧拙を論じているにもかかわらず、『失敗の・・』の方は日本軍がなぜ失敗したのかを様々な角度から捉えているのに対して、本書は毛沢東の長征だったりベトナム戦争だったりとばらばらです。前者が日本軍ということで読者が感情移入できる面があることと、一冊全体で統一感があるのに、本書ではその両面が欠けていることで、読者を引っ張り込む魅力にいまひとつ足りなかったのかもしれません。