中国皇帝として唐の時代に貞観の治と呼ばれる最高の治世を出現させた二代目太宗李世民の政治を、語ったのがこの本で、リーダーとはどうあるべきか?を語っている歴史時空を超えた大ベストセラーと思えばいいだろう。僕も会社の先輩から、ぜひ読んでおけと渡されたものです。内容は至極真っ当だが、それを実践するのは酷く困難であろうと思い、よく読み返しています。<P>しかしそうした教訓として読むよりも、そもそも日本の政治思想や民間への伝播など物凄い巨大な影響力があったであろう本書の研究が「ほとんど為されていない」という現実に、驚きを隠せない。徳川家康や北条政子が、その統治の核心・手本として生涯学び続けて研究し、しかも江戸時代の知識人の常識であったような『貞観政要』が、である。おそらく鎌倉時代以降日本で最も読み継がれた本が、である。故・鬼才山本七平さんは、古今東西の古典を本当の意味で読みこなす能力を持っており、しかも資料マニエリズムに落ち込むことなくダイマミックな思索の材料として展開する人でしたが、その彼が何度も批判する割に原典や著作も読みもしない批判者が多く、また日本社会は忘却するのが物凄く得意で、歴史上凄まじい規模で中国のオリジナル思想・書物から影響を得ているのに、それが綺麗さっぱり忘れ去られると語っていましたが、それを強く思い出しました。そう云えば社会学者宮台真司も日本はナショナリズムを持つには、忘却癖が強く、韓国のように歴史的怨念を子々孫々に伝えることは全くできないと喝破していたっけ。<P>ちなみにこの『草創(創業)と守文(守成=維持)といずれが難きや』が貞観政要から引用されたものであるということを知らなければ、昭和天皇が守文を旨とする教育を徹底的に受けたという事実や山本七平の昭和天皇論は、理解できないだろう。そもそも唐の皇帝太宗は、創業とその維持の両方を経験し、しかも成功させた稀なリーダーであったことが、後世に影響を与えた大きな理由の一つである。
唐の時代における「貞観政要」の教えが今なお、というよりも現在の方がその人間関係の機微を失っていることの実感から、この書が時代的普遍性を持っていることに感心させられる。自分が所属する会社や組織を思い浮かべてこの本を読むと、当てはまる事柄が多くあり納得させられる。「九徳」「六正六邪」は現在も将来もその価値観は変わらないと思います。
この本は、太宗 が国を作った後、国を治め、維持するために経験したことをまとめた貞観政要について、その時代背景などを含めて解説して、帝王として備えているべき資質について、教えてくれています。日本でも、北条、家康などがこの貞観政要を学んだそうです。人の上に建つ人は、一度読んでみて、自分の行動を見直してみるいいきっかけになるのでは? 日本の官僚、天下り役人なんかに読んでもらいたい!。