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情熱の真空管アンプ ( 木村 哲 )

真空管とその増幅回路の基本から、全段差動プッシュプル真空管アンプの設計と製作、トラブルシューティングまで一冊に凝縮。特にアース回路とトラブルシューティングが白眉。<BR>合理的な考え方で、初心者がつまずきやすいところや経験がないとわかりにくいところを親切に解説している一方、能動的に考えながら読ませる作りで、情報がてんこ盛りなので、受け身な姿勢では読み通せないのでは。<BR>欲をいうと、基本から応用までスパイラル構造なので、順を追って読むにはよいが、後から情報を探しにくい気がする。

本書は、差動アンプ制作(誌面はある程度割いていますが)の手引きだけでも、実体配線図付きの制作例集でもありません。初心者が市販キットから一歩抜けたい場合や、雑誌の記事にあるアンプを製作したいといった場合に参考になる一冊と思います。<P>基本的な回路説明、何処にどの規格の部品を使用するか、アースラインはどのように引き回すかなど実践的な内容が多く、初心者には有用な内容と思います。キット製作の場合でもトラブルシューティングを一読しただけで大失敗はかなり防ぐ事が出来るかもしれません。<P>高価なパーツを薦めたり、懐古趣味的な所もなく、ベテランにおいては賛否両論があるような話題に関しての控えめなコメントも見られ、著者の良識、見識が見受けられます。

類書はあまたありますが、初心者には肝心なところが数式になっていて理解できぬ本がはびこっておりました。(著者も理解していないかも知らん) が、本書は痒いところに手が届くように初心者の立場に立って著述されており、感激です。初心者は通例ロードラインの引き方でつまづく事になっておりますが、本書は丁寧に説明がおこなわれ、一読、アンプ技術者になった気分にさせてくれます。実装技術についても詳述されており、今後 長 真弓 先生の真空管アンプ設計自由自在と共に初心者のバイブルとなる名著です。あえて難を申さば、本書の価格と言う事になりますが、飲み屋で使うお宝を考えれば、安い安い!

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