新しいコンセプトの楽典ということで私もかなり期待をもって読んでみました。ただ、わかりやすい、という観点では、私はちょっと疑問があると思います。<P> コラムなどは、知識がマイナーすぎて、初学者は余計に混乱するだけだし、楽典の本質をこれで、つかめるのかな、という印象はぬぐえませんでした。<BR> <BR> やはり楽典はつまらない、という常識を吹き飛ばすには、力不足だというのが私が読んでの結論です。ただ、最後のスコアの読み方は参考になったし、24の調性の特徴がかいてあったりと、かなり良いところもありました。今後こういった本が沢山でてきて、よりわかりやすい本が出来ることを期待しています。
音楽がドラマだとすれば、楽譜は台本にあたります。私たちは子供の頃から読み書きを習っていますので、文字の台本を読むのに何の苦労もしません。しかし楽譜となるとそうはいきませんよね。この本はそんな人のための本だと思います。「楽典」というタイトルが付いていますが堅苦しい内容ではなく、ふだんクラシック音楽を聴いている人がもう一歩踏み込んで楽しむための楽譜の読み方をまとめたものです。単にまとめただけでなく、とても楽しい読み物になっているのがこの本の素晴らしいところです。笑ったり感心しながら読んでいくうちに、いつのまにか知識が付いていくと思います。<BR>最後のほうにベートーヴェン「運命」のオーケストラ譜を読むという課題があります。この曲は「ジャジャジャジャーン」という有名なフレーズ(動機)の繰り返しで成り立っているのですが、楽譜の中に「ここにジャジャジャジャーンが」「ここにもあります」「まだやってます!」「しつこくやってます!」といったように面白おかしい解説(茶々?)が入っていて、大笑いしてしまいました。一般の人には敷居の高かったスコアをとても親しみやすいものにしている点は賞賛に値すると思います。<BR>このようにとても楽しく読めるのですが、実際には「本格的な内容を平易に記述する」というのがこの本のテーマになっています。ですので、クラシック音楽のベテランの方でも勉強になることが多いと思います。例えば「ファ# と ソ♭ 同じ音でもムードは違う」のような話題は楽器を習っていてもご存じない方が多いのではないでしょうか。楽譜の初心者はもちろん、オーケストラやアンサンブルに触れることの少ない楽器レスナー、特にピアノを習ってらっしゃる方におすすめしたい本です。
~とにかくわかりやすさにびっくり…「拍」がカレンダーの「日」にあたるとすれば、拍子は「週」にあたる、なんていう説明とか、けっこう感動ものでした。例にあがっている楽譜のサンプルも、なじみのあるものばかり、楽譜を読みながら、えっ、この曲にこんなフレーズあったっけー、というむずむずの瞬間が最高。先生のおしゃべりのような肩のこらない文体が楽~~しく、コラムではトリビア的知識もゲットできる、2度おいしい音楽ハンドブック。お楽しみ、集大成の「運命」のスコア読み解きでは、「まだまだやっています!!」の吹き出しコメントで爆笑しちゃいました。難しいことをこんなにやさしく書けるって、青島センセイって、すごっ。~