東横インの社長自身が、自社の成功要因を分析している。著者が出版した意図は、東横インブランドの認知度向上と従業員の動機付け向上であろうが、経営学修士を持った社長だけに分析もしっかりしている。<BR> 「駅前旅館の鉄骨版」という事業コンセプトと、それを支えるしくみを、特に現代版女将である女性支配人の採用・教育・評価・報酬といった人事制度を中心に記述している。徹底したエンパワーメントと動機付け手法は、示唆に富む。また、このような事業コンセプトやしくみを構築できたのは、ホテル業に先入観のない素人集団であることが背景にあるというのもおもしろい。ホテル業界の方の感想を聞きたいものである。<BR> 文章が平易で読みやすく、かつ現場の状況が思い浮かべられるような表現となっている。女性支配人の声を入れているのもリアリティを増している。<BR> 残念なのは、最後に「内観」について語られており、少々宗教的な色合いが混ざってしまっていることである。確かに、重要な要因なのだろうが、それまでの冷静な分析を打ち消してしまう可能性がある。<BR> しかしながら、東横インのビジネスモデルを理解するのに十分な分析を提供し、他の業種への示唆を与えている。
儲け主義だけの東横インという印象があったが、<BR>この本での説明をよみ「なるほど」と感心させられる事実が多かった。<BR>地元密着型であり、かつターゲット客を明確にした同ホテルの戦略は、<BR>マーケット分析とコストコントロールの徹底によるものであり、<BR>その根本にあるのが経営者の明確なビジョンであると良くわかる。
今時に急成長しているホテルチェーンの実態は何なんだろうと思って、思わず手にしました。<BR>いや、良く出来た小説並みに面白いです。<BR>大抵この手のサクセスストーリーは、そのカリスマの主義主張が結構しつこく並べ立てられて、<BR>嫌味に陥る場合が多いのですが、これは違います。<P>アイデア自体はそれ程珍しい事ではなく、全く新しい、先進的な事などは殆どありません。<BR>ただ経営していく上で合理的、効率的と思われる事を、既成の概念にとらわれる事なく、<BR>もう直ぐ100軒になる巨大ホテルチェーンで、即実践しているのが凄いです。<BR>ワンマンだから当たり前と言う声も聞こえそうですが、この著者の場合はかなり回りの声を聞いて<P>微妙な軌道修正をしているようで、本を読む限りではその辺の逸話が面白いです。<P>自分自身にとっても参考になる部分も多く、文章の読みやすさもあって一気に読み終わり、<BR>爽快な気分になれました。