ラテン広文典というから、初等的文法は飛ばしていきなりラテン語特有の用法・用例を羅列した本を想像したが、実はamo, amas, amat...ではじまる文法教科書である。文法編が33章、補説が10章からなる。適宜与えられる問題は羅文和訳で、10章までは完全な解答が、11章からは注釈的なヒントが与えられている。また練習問題よりも長めの文章の読解も適宜挿入されており、13章から少しずつオヴィディウスの変身物語、27章からはハンニバルの物語を読む。忍耐は必要であるが、楽しくラテン語を学べるように工夫されていると思う。ただ1つの難点は、漢字が旧漢字をもちいていることだ。若い人には読みづらいところもあるかもしれない。
入手直後のため、当然のことながら全文を読み通してはいません。<BR>しかし、序説において繰り広げられる言語学者としての著者の文章力と<BR>配慮の行き届いた解説は類書を凌駕しています。<BR>本書の上梓に少なからぬ喜びを覚えている、と著者自身が序で述べている言葉に偽りはないでしょう。<BR>久しく入手困難であった名著が白水社創立90周年の限定復刊とは言え、再び流通されるようになったことを心から喜びます。<BR>限定ですから、お早めにどうぞ。<BR>しかし、内容のすばらしさを考えれば、限定的な復刊に止めておくことのないようにと、出版社に再考を促したい。