指輪物語の世界の成り立ち,神々の話が書かれており,なんだか古事記を読んでいる気分でした.<BR>登場人物はほとんどがエルフか,それ以前の神々です.指輪物語ではほとんど神様みたいな存在だったエルフも,若かった頃は血気盛んで,間違いも結構やらかしたようです.<BR>わけのわからない固有名詞のせいで,はじめのうちはとっつきづらいのですが,じっくり読めば,指輪物語で語られていたことの真の意味が理解できたりします.エルフがたそがれている裏にはこんなことがあったんだなあ,としみじみしました.<BR>巻末には,エルフの系図,エルフ語や語句解説,付録地図がついています.<BR>指輪物語は壮大な歴史の中のほんの一幕に過ぎず,それにいたるまでの歴史の厚みを感じさせてくれます.物語に対する評価としては的外れだとは思いますが,「歴史的資料的価値が高い」とまで言ってしまいたくなります.<BR>トールキンの頭の中で作り出した壮大で緻密な世界には感嘆するばかりです.今から2000年くらいたった遠い将来,「シルマリル神話」なるものが,ギリシャ神話や旧約聖書のような世界の神話と同じ位置に並んでいるのでは・・・などと妄想してみたくなります.
「指輪物語」とは表記は若干異なる部分もあり、そこにさえ気をつければこれほどの参考書はありません。一つの物語に背景があまりにも壮大ですが、これがあってこその物語の迫力につながっています。歴史地図とこの本があれば、指輪の世界はまず困りません。
映画「ロード・オブ・ザ・リング」→書籍「指輪物語」→「ホビットの冒険」と定番コースを経て、ついにこの本までたどり着きました。<BR>映画だけだと何のことかわからない部分も、ここまで読めばいろいろな歴史的背景があることがわかり、指輪物語の世界をよりいっそう楽しむことができます。