韓国(テーハミング)理解のためには様々な専門書や軽い読み物が今は沢山出ていて便利な時代だが、別に「国際政治」の専門家に皆がなる必要もないし、また皆が「ヨン様や韓ドラファン」になる必要もない。そんな中での手軽で良心的な一冊がこれ。<BR>サブタイトルにもあるように極めて日常的な衣食住、言葉のニュアンスから人間関係、習慣までが分かりやすく記述されている。学問的・専門的に理解したいヒトには食い足らないのだろうが、私には長年知らなかったことがそれでもいくつか分かって面白かった。<BR>例えば、今日本で一番売れている「漬物」はなんとキムチであること。これはいい加減な「ぬか漬け」(味はぬか漬けでもきちんと発酵させていない似て非なるモノ)しか産業化できなかったこの国の漬物への愛情の足らなさが、比較すれば指摘できると言う(キムチがヨーグルトより乳酸菌に富んだ食品であることは既に有名)。<BR>刺身にウルサイこの国に対しては、歴史的に一貫して(!)肉食可だった韓国が「肉にウルサイ」のが対照的。たしかに肉の食べ方については、明治以降(文明開化ですね)せいぜい3~4世代分の蓄積しか日本の食文化にはないのである。<BR>その他細々した習慣の違いも淡々と奇をてらわずに、76もの項目について記述がなされる。妙に深掘りしないところもこれはこれで「読みやすさ」につながっている、と私は思った。
中学から英語を学んでおり、欧米人とくにアメリカ人との比較を通して、「日本って特異な国」という思いがあった。この本は同じアジアの隣の国である韓国との比較であるが、やはり文化の違いを感じる。それと同時に、日本だけが特異なので無く、「それぞれの国が独自の文化を持っている事を、勉強していないので知らなかった」だけだという事に気づく。実は「韓国も特異な国」だったのである。
在日韓国人、日本人の編集者・ライター・研究者がメンバーのコリアンワークスによる文庫本書き下ろし。その姿勢はステレオタイプの韓国イメージや歴史認識を乗り越え、「現実に即しながら理想を忘れない」ことだという。<P> 衣食住から言葉のニュアンス、人づきあいの習慣まで日韓の共通点違いを教えてくれる。私が一番感じたのは、韓国では儒教精神「長幼の序」が基本となっているということ。敬語など言葉や人づきあいの基本となっていることがよくわかった。