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自分の頭と身体で考える ( 養老 孟司 甲野 善紀 )

 「解剖」と「武術」という、ともに“身体(からだ)で考える”ことを知っている二人の対談。<P> 養老先生からは溜飲が下がるような名文句が続出。曰く、<BR> “後になるほど良くなるという進歩主義は怪しい”<BR> “世界中の問題にすぐ首を突っ込みたがるのも、世界にまったく関心がないのもアメリカ人”<BR> “なぜか最も反体制的なものが、体制的になる”<BR> “「ウォー・マニュアル」を「日米防衛協力ガイドライン」と訳すのは新聞の詐欺”<BR> “人の人生ってせいぜいテレビゲーム程度の複雑さ”<P> 二人の共通の敵は日本の共同体であるが、一番共鳴したのは、“今の世の中、判断基準は法律やら規則じゃなく個人の美意識”って甲野氏の言葉。“全ては自分自身のため”ってのもそう。世の為、人の為っていいながら、世のせい、人のせいにするのが日本共同体だから。<P> この本、「こういうまともな考え方をする人たちもちゃんといるんだな」って、少し救われる気持ちになれる。

 頭(脳科学)の養老氏と、身体(武術)の甲野氏による、「自分の頭と身体で考える」対談。その対談の趣旨は、頭で考えた効率的なことを全て善しとする、現代人の典型的な生活への警告に重きが置かれている。養老氏の書物にはよくあることだが、それらの警告の痛快さと強烈な皮肉が混ざっているのが、この対談でも顔を出している。頭(脳科学)の養老氏と身体(武術)の甲野氏の考えの接点には、人として”自然に”生きるためのヒントがあります。強烈な皮肉を温かい眼差しで許容できる方は、ぜひ読んでみてください。

僕は、一昨日にこの本を買って、すぐに読みきってしまった。他に読む本が目の前にあるのにすぐ、新しい本に飛びついてしまうという悲しいクセでつい買ってしまった。買った直後に思ったこと。それは『読まへんかもしれへんなぁ』。せっかく買ったからと、電車の中で読んでみると、スラスラ読める。『これはいける。読みやすい。おもしろい。』と思い、大学のプレ卒論の中間発表を控えているのに、ついつい、それをなおざりにして、読んでしまった。無事、中間発表も書けたが、とにかく、面白かった。<P>内容で興味を持ったことの一つは、『ナンバ歩き』。これを読んでいたら、ちょうど、テレビでそれを紹介していてびっくりした。中には、『それをあえて、説明されてもこまるなぁ。俺が考えてる方やからかもしれへんけど、それは当たり前やからなぁ。』ということや『それは間違ってるんちゃうかなぁ』ということもありましたが、日本社会について、さまざまに考察するところや、養老氏が東大を辞めた理由、目と耳の比較などいろいろ興味深いことが書かれていて楽しかった。<P>僕が養老氏の本を読むのは『唯脳論』に引き続いて、2冊目である。養老氏の本を読んで、思うのは『頭がキレル』『冷たい』の2点である。その社会に対する情熱の薄さや人間に対する冷たさが垣間見えるときに、イヤになるのだが、全体としては、おもしろくて、自分にとって得るところが良かったので、星は4つか5つか迷ったが5つにした。<P>今、『バカの壁』がまさに『バカ』のように、売れているようだが、養老氏もこちらの方が10倍以上は真剣に語っていると思われる。ぜひ、こちらを読んで欲しい。

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自分の頭と身体で考える&nbsp;&nbsp;&nbsp;解剖学者と武術家という、一風変わった取り合わせの2人の対談をまとめたものである。養老孟司は、東京大学医学部教授を退官後、北里大学で教鞭を執る解剖学者である。また甲野善紀は、剣道などの武術を通して、精妙な古伝の術理と技法を探求している。お互いの専門分野は異なるが、どちらも扱っているのは「身体」である。古武術と解剖学の視点からそれぞれ世の中のさまざまな事象を見てみると、実におもしろい考え方ができるものだと驚かされる。 <p>&nbsp;&nbsp;&nbsp;大多数の日本人(著者らは全体の9割と述べている)は意外にわからないことを「わかったつもり」で生活している。そして、高名な人物が「白」と言えば「白」であるし、「黒」と言えば「黒」である、というような風潮も見られる。そんな大多数の「何も考えていない」人に、もっと物事を自分の「方法論」で考えてみよう、と呼びかけている。教育、政治、環境問題、医学などにまつわるさまざまな問題が、彼らの「方法論」によってバッサリ切られていく。手厳しい意見も多いが、ハッとさせられるのも事実である。 <p>&nbsp;&nbsp;&nbsp;そしてさらに特筆すべきは、物事を表現する言葉がとにかく豊富なことである。1つの事象を説明するのに、次から次へと言葉が飛び出してくる。養老・甲野の真骨頂ともいえるだろう。(冴木なお)
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