表紙に哲学と書いているが、この作品の欠点を挙げるなら、この題名だけである。哲学という言葉の典型的な日本人的誤用ですね。<P> しかし、仏教に立脚した彼自身の「思想」であるとするならば、第1級の作品であると言えるだろう。人に伝わってこその「思想」なのだから、自己の人生に不安を抱き、自信を喪失し、苦悩の渦中にある団塊の世代には是非一読して欲しい。<P> なかでも、人という存在が内包する「死」という終極点から考えた場合、氏の提示するあの世でのアイデンティティの問題はすごくおもしろいと思う。この考え方こそが、しがらみに自縄自縛状態になり、年間3万人にも達するといわれる自殺者に、自死を踏みとどまらせることのできる唯一の問いかけなのではないだろうか。<P> 私自身、丸裸になって「お前は何者だ」という自問に、心が癒されるのを感じ驚きを覚えました。そう、「僕」は肩書きで表されている存在ではなく、一個の生命なんだと気づかされたのです。<BR>
仕事をしている上で、何かと常識や慣例に流されて、物事の本質を見失ってしまうことがある。強い信念を持って、慣例や一般常識に捕らわれずに、経営をしていくことの重要さを感じた。また、経営者たるもの経理が何かを知らずして、経営は成り立たないということが良く理解できた。日本の企業がもっとこのような強い信念の元に経営されていれば、今騒がれている大企業の不祥事なども起こらなかったのではないだろうか。稲盛氏の哲学は、日本企業を救うと思う。
正直言って、これくらいの本だったら、多かれ少なかれそれなりの勉強をすれば誰でも書けるものだと思う。<BR>思うに稲盛さんの著作に求められているのは、彼が実際の経営で苦労した体験であって、本で読んだり人から聞いた知識から得た見解ではないはずである(その見解も結構デタラメなところもある。一例を挙げると、「フリーターとして働きたいときに働いて、後は遊んでいればよい」(p89)と書いてあるが、それは個々人の価値観の問題で他人がとやかく言う問題ではないし、実際のフリーターは抜け出したくても抜け出せない人が多い)。その点でこの本は期待はずれなので、星2つとする。