NHKラジオの「ビジネス英語」の講師である著者は今まで英語関連の本を多く出版しているが、本書のような「非英語系」の本の出版は初めてだ。興味津々で読み始めた。<P>非常にためになり、面白かった。本書を読むことをさっそく知人に勧めるつもりだ。その理由は:<P>(1)コミュニケーションの理論の基礎を押さえてあること。(この種類の本にはハウツーものが多いが、それでは満足しない人も多いだろう。)<BR>(2)ビジネスの場面における「説得」を主たるテーマにしていること。(このテーマを取り上げた本は非常に少ない。)<P>(3)本書の構成、書き方そのものが効果的なコミュニケーションの実践であること。(著者の挙げているコミュニケーション理論を本書の中で無理なく実践している。)<P>コミュニケーションの学習者であれ、ある程度の学習者であれ、本書から学ぶことは多いと確信する。杉田氏が今後さらに「非英語系」の本を書かれることを切望する。
「ビジネス英会話」「やさしいビジネス英語」の講師でおなじみの杉田敏の著書であるが、この本は英語学習のための本ではないので、興味を持って購入した。実際、呼んでみると「広報」の概念、「コミュニケーション」の重要さがとても具体的によく書かれている。この本は、いかに人にアクションを取ってもらうのが(「人を動かす」のが)難しいのか、また、どうやって「人を動かす」のかがわかりやすく書かれている。私たちはどのような状況においても、他人とのコミュニケーション無しには生きていけない。そういう意味でも、ビジネスに関係していない人たちにも意味ある本であると思う。
「コミュニケーションにおける最大の問題は、それが達成されたという幻想である」-著者のかつてのボスの言葉であるらしい。<P> 第1章「この世は全てプレゼンテーション」ではじまる。仕事に限らず、我々は一人で生きていけないとすれば、好むと好まざるに関わらず自分以外の人と「コミュニケーションする」ことになる。しかし、相手はこちらが思うほど理解していない、分かってくれていない-この事実は著者に改めて指摘されるまでもなく、日常生活において毎日のように経験していることである。<P> 「相手が分かってない」「何度言ったら分かるんだ」「だから、あいつはダメなんだ」-コミュニケーションがうまく行かない理由を相手のせいにするのは簡単かもしれない。でも、それで済まない場面もたくさんある。相手をきっちり説得せねばならない場面は仕事の中でも日常的であろう。<P> ではどうすればよいか?「しっかり確認する」「分かるまで言う」といった「根性論」「精神論」も無効とはいえないとは思う。しかし、この本は、この問題について「科学」している。<P> コミュニケーションの不完全性について、これを是正しなければならない人に大して、考え方の軸を提供するとともに、さらにレベルアップしたスキルを効率的に身につけるための着眼点をテンポのいい文書で一気に読ませてくれた。さすが、コミュニケーションのプロだ。 数時間で読みきれる分量も大変ありがたい。