良い評価ばかりのため、敢えて悪い面について書きます。<BR>前半の「ハギノ式敬語しくみ図」は敬語を一刀両断に整理しており、とてもわかりやすいと思いました。<BR>しかし、後半の「敬語雑記帳」になると、どんどん新しいことが出てきて、ハギノ式~だけ覚えてもすぐに敬語が使えるわけではないのだなと思いました。<BR>例えば「まいる」を「謙譲語の丁寧語化」とする説に対して、丁寧語「化」したものは丁寧語にほかならないと言っているのに、<BR>「おる」について「謙譲語的に使うこともある」と言いながら、「もちろん謙譲語などでもない」としているのは、どうもよくわかりませんでした。<BR>また、作者は他の国語関係の学会の方々を徹底的に批判していますが、自分以外の考えは全て間違っているかのように書いてあり、読んでいて不快感を覚えます。<BR>作者の言うとおりなら、敬語の使い方はほとんどの国語学者が間違っているそうです。だからこそ、この一冊だけを鵜呑みにするのではなく、他の本も勉強してみようと思いました。
著者によると、敬語には尊敬語・謙譲語・丁寧語の三種類しかないという。そして、<BR> 尊敬語…話題中に登場するものへの尊敬表現。<BR> 謙譲語…話題中に登場する何者かと他の何者かの間の上下関係を示す表現。<BR> 丁寧語…聴き手への直接の敬意表現。<BR>という大原則が、「ハギノ式敬語仕組み図」と共に示される。これはとても分かりやすい。<BR>他にも敬語に関する話題が色々と出てきて、非常に有益であるが、この本の白眉はなんと言っても、この「ハギノ式…」であろう。<BR>この本を読めば、普段何気なしに使っている敬語が、筋の通ったきちんとしたものになるのではないだろうか。<BR>ちなみに著者は、学会では非主流派らしいが、実用的敬語を正しく使えることが大事なので、そちら方面に特別関心がある人以外は気にする必要もない。
敬語教育が乱れている。そのことをこの本で知った。最近は小学校の教科書でも、国語辞典でも、敬語に勝手に新しい分類を作ったり、尊敬語と謙譲語の分類さえできていないものが多いと言う。<BR>この本は、30年前に学校で習った「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」の分類に従って、明快な理論で敬語の基本を教えてくれる。また、国語審議会や大学教授といった権威が日本語を混乱させ、破壊しようとしている様には非常な驚きと危機感を抱いた。戦後、GHQが日本人の精神を骨抜きにしようと企てた(そして成功した)ことと連携しているような気がしてならない。<BR>日本人として、美しい日本語を使い続けたいと考える人は、この本で自分の敬語をぜひチェックしてみて欲しい。認識を新たにする点が見つかるに違いない。