マイルスのブート盤は渋谷のマザーズレコードでは毎月2枚新譜が出る。ビートルズには適わないが大変な数だ。本書はブート盤についてかなりアップデートな情報を満載している。マザーズレコードに行くときは必ず本書を携帯していく。親切なことにマザーズレコードの電話番号も本書に記載されている。また名古屋のサイバーシーカーズというネット販売のURLも記載されている。ただネットのサイバーシーカーズはメガディスクというブートではメジャーのレーベルが主体で数はマザーズレコードに比べると少ない。やはりマザーズレコードが日本で一番充実している。マザーズレコードの店主も本書を片手に説明したりしてくれる。宝島社の「マイルス海賊盤ベスト50」と本書があればブート盤対策は万全であろう。本書を読むと「マイルス海賊盤ベスト50」の情報が古くなりつつあるのがわかる。いやかなり古い。ブート盤の世界も音質の良いリマスター盤が出たりジャケットが変わったりと忙しい。というわけで正規盤に飽きたらブート盤を聴こう。
ジャズ業界の内幕を知り尽くした上で、マイルス紹介本というスタイルを借り、常に新鮮なマイルス戦略を練ってきた、敏腕中山プロデューサーの第6弾!<BR>本人も言う通り、重要な音源は今回でほぼ出尽くした感があり、そうなると次の一手がどうなるのかが長年の読者には最大の関心事。そうは言っても良くも悪くも、いちライターと読者の力で、ここまでオフィシャルサイドを動かしてきたムーブメントは例が無い。<BR>今回のアップデート版は、データ的な補足も申し分がない一方で、やはり文庫サイズでは何か物足りない印象は否めない。次回への変貌のヒントは、どうやら中平氏の貴重なマイルスの写真にあるような・・・。<BR>いずれにせよ、読後の読者には、著者とテオ・マセロの「してやった笑顔」が今回も脳裏に浮かぶことは保証する。
正直なところ、とても面白く読みました。しかも何度も繰り返して。でも、彼のレビューを読むと、音楽はやはり好き好きだなと思いました。彼が良いと思ったことは私にはどうでも良く、彼が許せないと思ったことが私には素敵に思える。それが多すぎ。僕にとってはその違いを確認する事自体が面白かった。彼はマイルスではないし、マイルスの代弁者であるはずもないのだが、日本では彼こそがマイルスの音楽に関しての権威であるかのように受け止められているところが凄い。僕は他人の感受性をそのまま素直に受け入れるほど素直ではないので、面白い読み物としてしか捉えることはありませんでした。実際、マイルスがああしたこうしたって日本のジャズファンはちょっとうるさすぎ。聴いて良ければ良いし、そこに理屈をつけても仕方ないと基本的に思うので、この本も読んでそのオタクぶりにちょっとあきれました。