「ぴっぴら帳」なんかもそうですが、不思議な不思議なまんがです。素朴にして玄人ぶりが認められる画風、どこか昭和のにおいを感じさせる風景、質素で朴訥な登場人物。いわゆる叙情系?・・と思いきや、突然ナンセンスなギャグが炸裂する。しかも、ある意味極悪非道な男性と、それを淡々と受け入れる女性の結婚生活という、どう印象を受け取っていいのかわからなくなるお話。彼女は幸せそうな顔をしていますが、幸せと考えていいんですか? 「夕凪の街」に涙した人は、そのあまりの摩訶不思議ぶりに当惑すること確実ですが「ぴっぴら帳」の世界観にやられた私は星4つです。1つ足りないのは、完結しないでもっと続きを読みたかったから。
斬新な笑いと開放感を含みながらも、「夫婦」という人間関係の不可解さを描ききった、ある意味恐ろしい作品だと最初は思った。だが、これを恐ろしいと見るのではなく、関係を繋いでいく積み重ねと見ると前向きな視点を得ることが出来る気もする。<P>道さんは母親のようだ。夫の荘介はその子どもだ。(荘介の父親も、外出する先々でモノをくすねて来る幼さを持つ)。性行為も一度しかしていない。それもアクシデントのように。彼らが寄り添う時の道さんの反応は不自然なまでに純なものだ。<P>道さんには本当に思いを寄せている男性がいる。どうやらその男性とは、お互いに深い傷を背負う恋愛だったようだ。その男性が幸せを見つけたとき、道さんも「自分も幸せになってもよいのですね」と相手に問うように、自分に言い聞かせる。<P>まるで昔々の日本の夫婦関係のようだ。家制度が残っていた時代の。<BR>道さんの不思議さ、おとぼけぶりはそのような背景を無意識に喚起する。<BR>無邪気に浮遊する男のシェルターの役割を果たす道さん。その男の幸せが自分の幸せだと考える道さん。まるで「東京物語」の原節子のようだ。<P>彼女が一人遠くを見つめる目は、余りにも気高い。<BR>まるでこの世の人とは思えない、そう、それは天女の如く、である。
この世界にこういう人はいます。<BR>ごく稀に僕も出会ったりしてきました。<BR>主人公の道さんの事です。<BR>(本当は、道さんの性格を説明する所から入ろうと思ったのですが、<BR> 表現するのが少し難しくて・・・。)<BR>色々な要素が重なり合うのですが、敢えて表現するなら、<BR>ほのぼのした不思議な人、でしょうか。<BR>とても素敵な人です。その心も行動も。<P>そんな人が創り出す日常がとても愛しくて。<BR>(つまりは主人公が生きてるんですよね、とても。)<BR>何気ない日常の大切さをさりげなく気付かせてくれるそんな作品だと思います。<BR>とても良かったです。<BR>(何かまとまりがなくてすみません。。。)