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| 路地裏の大英帝国―イギリス都市生活史
(
角山 栄
川北 稔
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本書が刊行されたのが、1982年。それから、書店にはおびただしい量の社会史の文献があふれてしまった。専門家集団における関心の高まりはもっと早かったにちがいないが、一般の読者にまで社会史研究の魅力を伝えるにあたって、本書は大きな役割を演じた。政治史や経済史という古典的な観点を超えて、一般の人たちが実際にはどんな生活を送っていたかに興味を寄せるのが社会史の手法だ。病気や性の問題も当然そこには含まれる。このようにして、大政治家ではない普通の人たちの生活が鮮明に描きだされる。あなたも、大英帝国の路地裏に入って散策してみよう。アカデミックな興味を離れたしても、読み物として魅力的な書物だ。
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