谷原章介がコミカルかつキザに，しかしイヤミなくナビゲートしているフジテレビ系のデザイン番組『ニュー・デザイン・パラダイス』の作品をまとめた書籍の第２弾である。<BR>　<BR>　注目した作品は，玄・ベルトー・進来の「歯ブラシ」，廣田尚子の「ティーバッグ」，中村史郎の「クリスマスケーキ」，喜多俊之の「牛乳パック」，そして村田智明の「コンセント」等。　<BR>　「歯ブラシ」は，“指輪”にさまざまな用途のブラシをつけたもの。柄をなくしたブラシを指にはめて，指先のデリケートな感覚を使って磨こうというアイデアだ。使わずに並べておいても美しい。<BR>　「ティーバッグ」は，バッグの紐の一方に付いているタグが円形で，ティーカップのフタになり，そこからバッグがぶら下がるという仕組み。時間が経過して飲み頃になると蒸気を吸ったフタに“SHALL WE”の文字が浮き出すというウィットもあって，一人で飲んでいても寂しくなさそうだ。タグ(フタ)は使い終わったバッグの置き皿にもなる。<BR>　「クリスマスケーキ」は，クリスマスの“ものがたり”が込められている。アメでつくられたトナカイやヒイラギや雪の結晶などのアイテムが美しくちりばめられていて，それが取り分けの仕切であり，トレーにもなる。機能的にもきめ細かくデザインされている。ケーキの断面にも“ものがたり”が描かれている。放送で見たとき，温かく幸せな気持ちにさせてくれた。<BR>　「牛乳パック」は，牛の乳房をイメージしたという丸みを帯びた形態が優しく美しい。スタッキング性や持ち易さにも配慮され，植物性プラスチックの素材の使用で廃棄処理も考えられている。商品化されたら，すぐにでも冷蔵庫に入れたいと思う。<P>　日常の守備範囲と異なるテーマに挑戦しても，優れたデザイナーの実力は発揮されることをこれらの作品たちは証明している。当然だが。