地面からすくい上げるように描いたローアングルからの絵があるかと思えば、空から俯瞰する構図で捉えた絵もあります。近景をクローズアップした絵もあれば、遠くから景色を眺めるような、そんな雄大な絵もあります。頁をめくっていくうちに、まるで映画を見ているような、映画のカメラワークを楽しんでいるような、そんな気持ちにさせられました。<P>話は、クリスマス・イブの夜中、ひとりの少年のもとに汽車があらわれるところから始まります。汽車の名前は、急行「北極号」。<BR>「みなさん、ご乗車くださーい」の車掌の声に誘われて、少年が「北極号」に乗る場面から、しゅうふっふ、話は静かに滑り出していきます。<P>話そのものには、それほど面白さを感じませんでした。でも、オールズバーグの絵が素晴らしかった。ため息を吐きたくなるくらいに。<P>ビロードの絨毯を踏むような、あたたかな感触がある絵の色彩。<P>列車や建物の窓に灯る光を描いた黄色の色合いも、雪が舞うなかで霞む街の風景も、何か魔法でも見るように幻想的で美しいんですね。絵の一枚一枚を大きくして、額に入れて飾っておきたくなりました。<P>本の帯に、「トム・ハンクス主演 映画化('04年秋)決定!」とあります。<P>オールズバーグの絵が感じさせてくれたような、あたたかく、生き生きとしたクリスマス・イブの魔法を見せてくれますように。
「少年の心を持っている」ということと<BR>「幼児性」ということは全く異なるということだと教えてくれる絵本です。<P>クリスマス・イブの夜更け、主人公の少年が外を見ると窓の外に急行列車が停まりました。<BR>そして少年は列車に乗ってサンタの国へ行きます。<BR>目の前に広がる信じられない光景、プレゼント第1号に選ばれた喜び、<BR>帰りの列車でのショックな出来事、<BR>読み進むうちにいつのまにか心は少年少女になり、<BR>自分のことのようにドキドキしました。<P>シックで高級感あふれる絵と少年の心を甦えらせてくれるストーリーは<BR>サンタクロースの存在を疑っているあなたに、<BR>きっと心のクリスマスプレゼントをくれることでしょう。<BR>ラストの1行はシンプルですが忘れられません。
幼い日のクリスマスの夢と奇跡。<BR>厳寒の雪原を走る列車の車窓からの明かりがとても印象的。<BR>忘れていた小さな子供の頃の気持ちを思い出します。<BR>それほど目新しいストーリーではないと思いますが、<BR>クリスマスが大好きな子供だった方におすすめです。<BR>村上春樹の訳ですが、それほど彼の個性は感じさせない訳だと思います。