何で、人間は、発情期以外でも(=生殖不可能)セックスするのか。<BR>なぜ人間は基本的には一夫一妻なのか。<BR>何で、女性が子育てをすることが一般的なのか。<BR>男女の身体的特徴の違い(ひげ、胸、声)は、どうして生まれるのか。<BR>どうして、女性の閉経が存在するのか。<P>知ってる? 知らないよね、普通。俺も知らんかった。聞きかじってたのは、閉経に関しての説明のみ。人間の寿命が不自然なほど延びたから、本来ありえないはずの閉経という現象が起こるのだってやつだけ。しかし、それも一面的な説明に過ぎないらしい。<P>この本の目的は、人間の性を中心とした謎を、生物学的、人類学的な理論を使って、分かりやすく説明することにある。<BR>読んでて、目からうろこがこぼれて止まらない。
ジャレド・ダイアモンドによる本書は、人間の性行動の自然界における特殊性を、進化論の見地から他の動物との比較で解りやすく説く入門書である。例えば、人間女子の閉経や排卵期の不可視性は自然界でも極めて特殊な現象で他の生物にはほとんど見られないのはなぜかとか、人間にとって授乳の持つ意味や、ゴリラやオランウータンなどと比べても、体格比における人間男子のペニスのサイズが桁外れに大きいのはどうしてかなど、興味津々の疑問を各方面の研究成果も踏まえて歯切れよく解き明かしてゆく。こういう書物をつかって中学や高校で生物学と性教育を一緒にしたようなことが出来ないものかなと思う。英語は十分平易で、これが読めれば、TOEICは800をゆうに越えるだろう。受験生などもチャレンジして欲しい。
タイトルが怪しげなこともあり、18禁扱いされているようですが、実際はかなり真面目な科学本。生物の究極的な目的が繁殖、自己複製であることを考えれば、性戦略が淘汰の過程で重要な意味を持つであろうが、本書は他生物との比較でヒトの性戦略の特徴を概説している。著者はあの「銃・病原菌・鉄」を著したジャレド・ダイアモンド博士。博識、経験に加えて、わかり易い例証を示すことで、一般読者にも十分楽しめるものに仕上がっています。