面白いです。共感覚って初めて知りました。<BR>視覚・聴覚・触覚・味覚・臭覚が混じり合う状態を持つ人。<BR>例えば、チキンを食べたとき辛みを感じると同時に”とがり”を感じる。例えば、高音を聞いたときに色を感じる。<P>これらは共感覚者以外の人がメタファーとして表現するのとは違い、実際、不随意にわき上がってくる感覚だという。<P>記憶力を上げるために五感をバランス良く使うことが推奨されたりするけれど、トレーニングでどうこうでなく生まれたときからそんな感覚を持っている。<BR>こんな人たちが案外存在しているのだ。<P>そして、共感覚者以外が目にしているものも又加工されている可能性がある。<BR>「マップ」我々はそれぞれのマップで物事を知覚し判断するけれど、結構不確かなものなんだな。そんなことも教えてくれる。
共感覚とはある刺激が不随意に他の刺激を呼び起こす現象。音を聞くと色が見える。文字が色つきで見える、など。<BR>本書では、味で形を感じる共感覚者と、共感覚の謎を追う医学者を主人公に、ミステリーのようなテンポある展開で、共感覚のしくみについて教えてくれる。ちゃんと「結論」まで達するのでご心配なく。<P>医学ものには珍しく会話の豊富な読みやすい文章。<BR>訳もこなれていて「翻訳物らしさ」がなくてよい。
まず、翻訳者の翻訳がすばらしい。翻訳が悪ければ、「原書を読んだほうがよっぽどいい。」本になりかねなかった、と思う。<BR>この翻訳者のほかの書籍も読んでみたくなった。<P>シトーウェックが、共感覚者と出会うことから、「物語」は始まる。<BR>臨床にありながら的確な研究的視点で、ミステリーを紐解くように進む物語には、時間を忘れて引き込まれた。<P>一連の実験を通して明らかになった「共感覚」の原因は、予想外であるが比較的シンプル。<BR>この本の真髄は、「私たちが日常当たり前であると感じて生活していることを、実は脳が絶妙な仕組みで調節して認識しており、その脳も実は、、、(ぜひ読んでください。)」<P>お勧めの一冊。