僕の見た「大日本帝国」―教わらなかった歴史と出会う旅 みんなこんな本を読んできた 僕の見た「大日本帝国」―教わらなかった歴史と出会う旅
 
 
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僕の見た「大日本帝国」―教わらなかった歴史と出会う旅 ( 西牟田 靖 )

竹島の問題が騒がれる中、ニュートラルな立場で、旅人して普通の住民と話している内容が真実に近いと思う。色メガネをはずして見ることの大切さをあらためて感じる。そして、あと10年もすればその当時のことを知っている人はほとんどいなくなる。旅行者が、そして生活者が語りつないでいくことが次世代に対する責任だと思う。あらゆる世代の人に読んで欲しい力作だ。

面白い。面白さの源泉は、恐らく著者の同年代(30代)がもつ常識的な歴史観と健全な好奇心を共有できるからでしょう。それは、旧大日本帝国が旧植民地で行った制度やインフラの整備を目の当たりにし植民地支配を一概に悪かった、と総括するでもなく、強制的にサハリンに移住させられた朝鮮半島の人に率直に申し訳ないと思う歴史観。そして原付バイクで樺太の北端まで行こうとし、どんな反発があろうが韓国や北朝鮮、中国で旧支配を日本語で聞いてみようとする好奇心なのだと思います。<P>中国や韓国での反日運動を議論すると、マクロな政治の議論が中心になり勝ちですが、こうした割に常識的で積極的に歴史に関わっていこうとする視点から実際に人に話を聞き、遺物を見、それを評価する作業を加えることによって議論が立体的になるような気がします。四年間に渡る大日本帝国の痕跡をたどり、それらに思いをめぐらせ、その広さとともに「現実の豊饒さ」をともに感じ取れることがこの本を読んだ成果なのだと思います。<P>それなりの調査があったことを伺わせる歴史叙述とあわせて、中国に残され孤児となったおばあさんに帰国後、手紙を書いて日本の親族を調べる手助けをしようとしたり、ミクロネシアのガイドのおじさんに大好きなハーモニカを送ったりするエピソードなど(嫌味なく語られること)は、著者の正直で誠実な姿勢を示しています。やや浅薄な感はあるものの好著、です。

 私がこの本を買うきっかけになったのは、グラビアで登場する「樺太の神社の鳥居」です。とめどなく流れ行く歴史を、見つめたい、そんな思いにぴったりの本だと思います。<BR> 描写も丁寧で具体的、まるで自分が作者と一緒に樺太・台湾そしてパラオに出かけているような錯覚に陥るほどです。歴史という事実を、評価を取捨してながめてみてはどうでしょうか。<BR> 非常に有意義な本です。

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