発刊時に色々な書評で絶賛されていたのは知っていたが、<BR>やっと読みました。テクノロジーの革新を破壊的技術と持続的技術の2つと<BR>とらえ、ある破壊的(革新的)技術をもった企業がいかに上位市場へ<BR>攻め上げ、逆に、昔は破壊的技術で勢いに乗っていたエクセレント企業<BR>が持続的技術の洗練に向かわざるを得ないのか、なぜ没落するのか、を<P>説明している。つまり、革新的技術のダイナミズムと、その技術を代表する<BR>企業群のダイナミズムのメカニズムを説きあかしたといえるのでは<BR>ないでしょうか。その結論はにわかには信じがたいが、実証研究をい重ね<BR>合理的な説明をこれでもか、というほど読者に提供し、説得力がある。<P>ただ、インターネット時代に出るべくして出た研究かな、という気もするが、<BR>著者は、この辺も怠りなく、新しい技術だけでなく、技術の交代と企業の<BR>交代は技術や製品を問わず、自説を適応できるとしている。<BR>ホンダやソニーの逸話がでてくるのはうれしい。<P>目からうろこが落ちる、とは本書のことだろうか。
顧客の意見に広く耳を傾け、彼らの声に忠実に従った製品を開発し、十分な規模を<BR>もった市場を相手にビジネスを行う・・・<P>経営の基本に忠実に従った、一般的に優良とされている経営をしていても、<BR>破壊的技術は知らないところからやってきて、いつの間にか市場をのっとっている・・・。<P>経営者なら誰もが自分の企業が市場から追い出されてしまうことを恐れて常に対策<BR>を行っている・・・にも関わらず競争に敗れてしまうことがある原因について解説しています。<P>何より筆者は自分の仮説に対し膨大なデータによって検証しているところが説得力<BR>があり、その対象にあげているものも、市場を支配する企業の移り変わりが非常に<BR>早いハードディスク業界というところがさらに興味を引き立てます。<P>そしてこの本の理論が現在証明されようとしているところです。<P>現在アップルがiPod nanoという新しいiPodを発売しましたが、このiPodは記憶媒体<BR>にフラッシュメモリを使用しています。<P>iPod = ハードディスク<P>というイメージも定着していると思いますが、アップルは攻勢にでて先月まで<BR>売り上げの上位を占めていたiPod miniを商品から消しフラッシュメモリ型のnanoで<BR>勝負をしてきました。<P>ここでフラッシュメモリはこの本でいう"破壊的技術"だと考えられます。当初は<BR>USB接続の記憶媒体や低容量のメモリーカードとして使用されてきました。<P>それが毎年のように容量を増やしてきて既に16Gの容量のものも開発されています。<BR>このままの速度で容量が増加し続けるとやがて現在のノートパソコンが必要としている<BR>容量をカバーできるようになり、パソコンからハードディスクが消えフラッシュ<BR>メモリになるかもしれません。そうなると消費電力が低く、軽量コンパクトで起動<BR>も早いフラッシュメモリがパソコン市場で主流になり、ハードディスクは一掃される<BR>可能性もあります。<P>このような流れはその他の市場でも起きています。<BR>アップルはうまく対応しているのかもしれません。<P>今後の流れに注目していきたいと思いました。<P>ハードディスク業界が予想通りに移り変わったときはこの本の評価はもっと上がる<BR>ことでしょう。
最初は小さい製品で市場を圧巻していた会社が大きな製品を出し始めるとなぜか業績が悪くなっていくという現象は、長年コンピュータ関連の業界にいた人は漠然と感じている事だと思うが、この本は、その漠然とした疑問に明確な答えを提示している。 既に顧客を押さえている分野を守ろうとする事によって、社内の新しい芽を刈り取らざるを得なくなり、結局は自分の首を絞めてしまうという企業のジレンマを、ディスク業界などの具体的な事例を示して分析している。業界内で或る程度地位を確立しているような企業に属している人には一読をお勧めする。難点は技術的な解説が多いことで、企業戦略考えるための本でありながら、いわゆる「文系」の方には多少取っつきづらいかも知れない。