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| シリウスの都 飛鳥―日本古代王権の経済人類学的研究
(
栗本 慎一郎
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まず渡辺豊和氏の二十年来の研究から、縄文時代に全国規模で存在した太陽信仰に基づく建築物と聖地の精確に篭目状に並ぶネットワークが想定され、そこに蘇我氏が持ち込んだユーラシア遊牧民のミトラ信仰に基づくシリウス崇拝による建築物の'方位の変更’としての「聖方位」が語られる。ミトラ=弥勒だとするこの研究は、単なる想定ではない事実であると、メソポタミアからユーラシア遊牧民を経て日本へと伝わる文化的対応が具体例で提起され、シルクロードから中国、朝鮮を経由する路よりも北の草原のルートが近距離で安全であり、そちらからの文化流入がより主流だと見直しを提起する。無文字文明が決して遅れた文明とはいえない等の経済人類学の諸説が敷衍され、遊牧民の文明がより高位にあったと歴史の見直しを主張する。縄文時代から存在する冬至と夏至線を交差させて出来るカゴメ状のネットワークについてとそこに変更を加えた蘇我氏の聖方位について全国的にかなり詳しい数字が語られ、興味有る読者の発見に役立つよう表がついている。<BR> 蘇我氏は遊牧民的な双分制と律令制、弥勒信仰や上天思想、星辰信仰を持ち込み、自ら双分制の運営に失敗し内部より暗殺されたが、武士団、山、金属採掘、水利事業、火を巡る民間信仰を残すことになった。<BR> この日本文化の二重性が現代まで日本史の二重性を規定した。<BR> ヤマトの地は縄文ネットワークにおいて重要であり、そこに乗っかって変更を加えるため蘇我氏は大陸から北日本を経てやってきた。<BR> 飛鳥とはアという尊称と蘇我の合成であり、ソガはサカ族の可能性がある。そして白鳥ルートによる日本への渡来と信仰から飛ぶ鳥となった。<BR> 遊牧民文明の世界史的再評価とその宗教について語られるが、事実の究明が主で、世界観そのものにもう少し内在的に入って行くことも読者に残された課題かも知れない。<BR>
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