高校の授業でも理解できなかった確率の話をこの本によって目を<BR>開かれた。わかりやすい上に面白い。この明快さはただものでは<BR>ない。確率論をこの本で学んでから人生をいろんな風に考える<BR>ようになり、「この手術の成功率は3人に1人」などといった<BR>でたらめな確率論も気にしないで済んでいる。<BR>数学コンプレックスの人も、経済学・経営学をこれからやろうと<BR>いう社会人にも勧めたい名著である。
「基礎」は高校の数学で確率が苦手な人のための副読本としても良いと思う。授業や教科書,参考書などでは無視されているようなことにも言及していて,しかも記述は丁寧なので,納得できるまで読み返せばよい。私が副読本という扱いをしているのは,これだけではやはり足りないから(確率の学習という点では)。それでも確率が苦手で困っている人の一助にはなるでしょう。<P>残りの「応用」「娯楽」も含めて全体が読み物として非常に良くできているので,確率に興味のある人のための入門書にも最適。ただし頭の良い人には退屈かもしれない。<P>本書が長く読みつがれて来た(初版が昭和43年)のは納得がいく。私が大村平氏の著作を読んだのはコレが初めてだけど,他のものも読んでみたいという気にさせられた。
本書は「基礎・応用・娯楽」とサブタイトルにも書かれているように,基本的な内容からかなり高度な内容まで扱われています.高度でありながら,その筆致はいたって平易なため,スラスラと読み進めることが可能です.<P>まず基礎編では,確率の意味から始まり,条件付確率や中・上級レベルの分布にまで話が及んでいます.応用編にいたっては,ゲーム理論や待ち行列の理論,果てはマルコフ連鎖,マルチンゲールそしてエルゴード性にまで言及されています.細かい数理的な説明ではなく,言葉を中心とした分かりやすい説明がなされています.<P>私自身,高校時代に確率・統計をほとんど勉強しないまま,大学では経済学部に入学してしまい,学部時代の必修科目であった統計学をクリアするべく,同著者による『統計のはなし』と『統計解析のはなし』とともに本書を通読しました.あまりの分かりやすさに,今では統計学を専攻するにいたっています.ある意味で,私の人生を規定した偉大な書物でもあります.<P>それはさておき,まずは騙されたと思って読んでみてください.きっと確率・統計をもっと勉強したくなること請け合いです.<P>なお,本書の最後の付録では,最低限の数理展開による証明も付されているので,数学が得意な人にとっても,読み物として最適な一冊だと思います.