偉大な企業になるための条件の中に「規律」という言葉が多く出てくる。<BR>また、その他にも本書の中で「謙虚」「地道」「真摯」「厳格」「勤勉」「愚直」といったワードが目を引く。<BR>派手でイケイケの企業とは逆の地味ではあるがまじめで着実な企業が偉大な企業と成りうることを、膨大で厳格な調査により証明した本。
前作ではソニーをはじめとする偉大な企業の分析を実施したが、今回は優良な企業が偉大へと変革するにいたったことの分析をしようという試みをまとめたものです。だからといって調査(5年にわたる!)を前回の継続として捕らえておらず、また内容も前回の継続というよりは同列の資料ができあがって、再度同じ視点でどうなのかが議論できる形になっています。<P>基本的には以下の循環により、ゆっくりと進化したというのが解になります。ハリネズミの概念と3つの基本原則(情熱、世界一、経済原動力)のみを忠実に実行することにあります。そして行動を起こす人柄としては「ストックデールの逆説」と定義していますが、「必ず勝てるという確信を失ってはならない。ただし厳しく現実を直視する」タイプの人ということです。<P>世の中には当たり前と思えることが、実は明文化されていなかったり、証明できていなかったりすることが多くて、ことを深めると、「どうしてそれが成立するのか?」という疑問にぶち当たることもしばしばだと思います。本書で示されているデータも内容ももしかすると、当然と思えることかもしれませんが、それでもここまでデータに忠実に具体的にまとめられた形はほとんど世の中には存在しないと思われます。<P>ただ本書は優良な企業が偉大な企業へ成長したデータの整理であり、本書をまねて人・企業が、本書通りにいくという保証はありません。だからといって無視できない事実も多く書かれていて、経営者や起業家は必読の書では?と思われます。
前作の続編というよりも、この本が前編であるといえよう。<BR>偉大な会社になるにはどのような過程を経ているのかを統計から証明している。前作を読んだ人にわかり易く言うなら、会社に”時計を作る”過程を公開しているのである。<BR>この本はリーダーシップ像に新たな一石を投じていると同時に、そのリーダーがどんな人達と偉大な会社になる仕組みを作り上げていくのかというベンチャー論に新しいパラダイムを提供したと言えよう。<P>個人的には、前作より一歩中に入って会社の成長法則を解いているところにこの本の偉大性を感じる。