この本は、スポーツカー「RX-8」とそのメーカー「マツダ」を巡るノンフィクションです。<BR>しかし、自動車に詳しくない人にこそ、ぜひとも読んで欲しい本です。<P>マツダと言えば、RX-7 のロータリーエンジン開発が「プロジェクトX」に取り上げられましたが、その後継となる RX-8 の開発も苦難の連続で本書ではそれに対する挑戦が克明に描かれています。<BR>ただ、「プロジェクトX」と違う点は、開発に携わった人が涙でその様子を語るのではなく、高いハードルに挑んだ当時の困難をいっそ楽しげに思い返しているのが伝わってくることでしょうか。<P>ややもすれば専門的になりがちなこの手のノンフィクションですが、著者の方がわかりやすい表現、わかりやすい喩えに心を砕かれているようで、理解しやすく、その面白さにぐいぐいと引き込まれていきます。<P>著者レビューにある「日産の再生はゴーンが語る。対してマツダの再生は、その製品自体が語る」という言葉を実感できる、知られざるもう一つの「プロジェクトX」。<BR>面白いですよ。
極度の赤字によりフォードの資本下に入ることになったマツダの惨状と復活を書いたビジネス書。 <BR>マツダというのは、実は良い車を作る技術力のある自動車メーカーなのである。しかし、マツダは常にイメージ戦略で失敗しつづけたために、びみょーな車メーカーとしてしか一般的には認知されていなかったと思う。それは今もだろうか? <BR>ただ、マツダの作った車で非情に評価が高いのがロードスターとRXー7。ただしこのふたつはスポーツカーであり、メーカーに確実な利益を落としてくれるドル箱ではない。フォード傘下に入ったことで、実際RXー7の開発は凍結されたのだ。 <BR>しかしマツダの現場は、世界中でマツダのみが実用化に成功しているロータリーエンジンを使ったRX-7が作りたい。RX-7が作りたくてマツダに入ってきた者がたくさんいるのだ。 <P>本書は、そのRX-7を作りたい現場と、とにかく赤字を解消するために『経営』を優先するフォード上層陣との対立的な緊迫関係が、現場の発憤を呼び、4シーターのスポーツカーという類を見ないRX-8を作り出したのだと説く。 <BR>確かにそういう面はあると思う。思うが、実際はそんなに簡単なことじゃないだろうなぁ、と思う。 <BR>旧態依然とした日本企業の現場主義に、グローバルな視点を持った経営者が関わることで、対立的な緊迫関係により、今までより優れた『商品』が出来る。最近のビジネス書の基本的な組立方である。本書は、この組立以上からは出ていない。 <BR>確かに、マツダの中で何が起こったのか、RX-8がどうやって出来たのかは良くわかるが、読後う~ん、と考え込んでしまう部分も多い。 <BR>はたして額面どおり受け取ってもいいものかどうかと。 <P>現場は、ここで書いてある以上に大変なんじゃないかなぁ、とつい勘ぐってしまいたくなってしまう。う~ん、勘ぐりすぎかな。
アテンザを購入し、初めてマツダ車のオーナーになりました。<BR> 僕の学生時代一世を風靡した赤のファミリア、そして根強い人気のRX-7など、すばらしいマツダ車がある反面、「値引き」に象徴されるようにマツダ車には負のイメージがあることも事実です。実際私が購入した時も、えっマツダ?という反応が少なからずありました。でも実際に車に乗った人の反応は、好意的なものに変わりました。その秘密が本書に隠されています。<BR> 本書ではマツダの復活物語がRX-8の開発を中心に、時期を前後して発売されたアテンザ、アクセラ、デミオがそれぞれどういう役割をになっていたのか、つまり現在のマツダそのものが丹念に描かれています。マツダファンにはもちろん、経営の参考書としてもお薦めの一冊です。