ライオン、ぞう、うさぎ・・と、なじみやすい動物が次々と出てくるのに子供はワクワクします。計算されたモノクロの為、にぎやかな場面でも静寂感があり、心に染み入りやすい一冊です。子供だけではなく大人にもお勧めです。
しっかり描かれた豊かな本。<BR>楽しくて読み終わったあと、本当に森の中に行ったあとのような<BR>静かな空気に包まれるのが心地よいです。<BR>作者はやさしい人なのだろうなぁと感じられる一冊です。
安房直子さんのエッセイ「好きな絵本ふたつ」の一冊に、本書が取り上げられ、紹介されていました。(安房直子コレクション第7巻『めぐる季節の話』にて)<BR>一体、どんな絵本なんだろう? 興味を惹かれて、読んでみました。<P>お話は、らっぱを持った少年が、森へ散歩に出かけるところから始まります。そして少年は、森のなかで色んな動物たちと出会います。一匹、次は二匹と、らっぱを吹く少年の後についていく動物たち。いつの間にか彼らは、行列となって森のなかを進んでいって……。<P>鉛筆で描いたような感じの、白黒の絵です。少年が吹くらっぱの音も、どこかに吸い込まれてしまうような森の静けさを感じたのは、絵のなかの黒い色のせいでしょうか。<P>一番印象に残ったのは、話のラストです。ミステリアスで、引き込まれるような深い味わいを感じました。<P>安房さんがエッセイのなかで、「あれは、にぎやかなお祭りの終わったあとの、むなしさなのでしょうか、それとも、夢から醒めるときの――ファンタジーから現実へひきもどされるときの――やるせなさなのでしょうか……。」と書いていらっしゃいました。宴が果てたあとの、しんとした静まり返った空間。そこに佇んでいるような、さびしい気持ちに包まれました。