海外には「交渉学」という専門の学問分野が存在するが,その学問的成果の精華が本書に結実している.本書には,ソフィスト的な「白を黒と言いくるめる方法」が書いてあるわけではない.「ディベートで一方的に相手を打ち負かす技術」が書いてあるわけでもない.<P>タイトルは下世話なハウツーもののようだが,内容は一線を画している.本書が提案するのは,1自己の利益を確保し,2交渉相手との関係を必要以上に破壊しないための交渉術である.<P>交渉において,いたずらに自己利益確保のみに走ると,交渉相手との人間関係を修復不可能なまでに破壊してしまうことがある.逆に交渉において,交渉相手との人間関係をいたずらに気にし過ぎると,自己利益が思うように確保できず妥協的な結果に終わることがある!!.どちらも交渉としては失敗だ.<P>自己利益確保と関係維持という,時に相反する要求を満たすための方法として,本書が提案する具体的な方法論とは「原則立脚型交渉術」というものである.その具体的な内容については本書を読んで確かめて見て欲しいが,単なる体験談の記録やハウツーものに堕することなく,しかも具体例に即して記述しており,非常に読みやすいと思う.お勧めです.
私の交渉は「交渉=駆け引き」が基本でした。この本はその次元を超えています。「原則立脚型交渉」は究極の交渉術でしょう。勿論、すべてがスムーズに行くとは限りませんが、その場合についても述べられています。<BR> <BR>「原則立脚型交渉」の基本は「人と問題を分離する」「立場ではなく利害に焦点を合わせる」「決定の前に多くの選択肢を考えておく」「客観的基準で結果を導く」です。どれも当たり前のことのように思えますが、交渉の現場では簡単なことではありません。この本は、その手ほどきをしてくれています。<P> 読みづらい文章が多くて少々肩がこりましたが、それでも読み直してみたくなる本です。
ハーバードという名前に惹かれて買った本だが、とても訳に立つ本だと思う。<BR> 駆け引き型の交渉よりも優れる交渉方法として、原則立脚型の交渉を提案している。詳細は本書に譲るが、この方法はとても客観的な交渉法と思う。<P> 交渉の進め方としては、『共通の利益』に焦点を合わせるということ、つまり、『Win-WIn型』の交渉、また、人ではなく、事柄(利害、問題など)に焦点を合わせる、というポイントにも言及している。<P> 本書では、これ以外にも、実際の交渉にあたってのポイントが多く書かれている。この本を読んでみると、交渉とはとても奥深いものであることに気づかされる良書である。