現状では、教師の側から生徒に話が伝わっていない(場合によっては、教師自体が分かっていない)ことが問題。また、教師がいくら一生懸命教えてもまだ3割は以下のように考えている。本書はいわゆる大人にとっては【当り前】の内容なのだが、若い人達が職業について考えるきっかけになれば良いと思う。<P>1.<BR>フリーターになって初めてわかることとかもたくさんあると思う。今ここでこうやって勉強したことや、自分で考えたこととかを思い出したりするための時間をつくったりするためにフリーターをやってみたい。<P>2.<BR>美容師になるために必要なことをフリーターをやって身に付けたい。お金の問題では、すぐ就職した方がいいかも知れないけれど経験を積んでいってなりたいものになれたら、それはお金では買えない大きなものだと思うから私はフリーターをやってみたい。 <P>3.<BR>自分にやりたいことがあってもやれないってことは、いくらでもあり得る。時にはやりたいことをやって、やめて変えたりしてもいいと思った。
目の前のことしか考えていないフリーター対策としては、著者の提言・情報提供は確かに有効であるかもしれない(こんなことは、教育現場ではすでに断片的にではあるがすでに行われている)。ニートの問題は別に考えるべきであると思う。マズロー的に見れば、職業に関してのことだけではなく、人間、快・不快で行動を決めるのが第1段階、その次にくるのが損・得で行動を決める段階である。私の思うところ、第三段階は、(誤解を恐れずにいえば)自分のしていることに(人生の真理としての)意味がある(又は正しい)かないか、ということではないか。著者のねらいは第二段階であり、ニートに有効であるのは第三段階であると思うのだが。
フリーター、ニートに関して、今まで外から分析された本は色々出たと思うが、はじめて内から、教育の現場から若者の意識を変えていこうとする冊子である。<P>著者曰く、「裏のタイトルは『働くことの意義を考えてみよう』なのである。自己啓発本なのである」。本ではなく冊子である点も味噌。若者に読んでもらうこと、親に読んでもらうこと、学校の先生に読んでもらって実際に使ってもらうこと、を意識して作られている。<P>著者が勤める「船橋情報ビジネス専門学校」のサイトに、著者が実際に中学生、高校生のクラスで行った時の授業ビデオがある。授業の進め方はもちろんのこと、学生達の反応が分かって面白い。本書を購入すると、このサイトから授業用のツールもダウンロードできる。著者のオープンソースの実践に本気を感じる。<P>文部科学省委託事業『フリーター・ニートになる前に受けたい授業:全国出張キャラバン』が今年8月からはじまり、著者が全国の学校を回られるとのこと。成果を大いに期待したいし、どうだったかについても知りたい。