今どきの芸人界隈で、最も知的で文才のある人物といえば間違いなく、<BR>この本の著者・水道橋博士である。希代の本読みである坪内祐三氏も礼讃する<BR>その文章センスは『お笑い男の星座』などの著書で既に知られているところだが、<BR>その彼が書評本を書いた。それも、取り上げたのはタレント本ばかりである。<BR>芸能人ウォッチャーでもある彼にとって、この仕事はまさに「本業」であったのか、<BR>水を得た魚のようにその文才を発揮しまくっている。遊び心のある比喩とダジャレ。<BR>絶妙な引用術と計算された起承転結。一編4ページの50編全てが、巧みに凝縮された<BR>「物語」であり「作品」として成立していることに舌を巻かずにおれない。<BR>巷にあふれる書評本のほとんどは、本をダシにした著者自身の思想の押しつけか、<BR>そうでなければ砂を噛むような本の紹介の類いでしかない。だからこそ、書評を<BR>「作品」といえるレベルにまで昇華してしまう水道橋博士の技芸は無類であるといってよい。<BR>とにかく、笑えて感心して、楽しめる書評集である。
過去の作品に対し「しょせんは英雄ではなくその記録をする伝記作家のようなもの」と揶揄されたことのある博士氏。<BR> しかし英雄の凄みを余すところなく伝えるのは一流の伝記作家でなければできないことであり、芸能界の表舞台にいながらというのは唯一無二である。<BR> 本書「本業」はタレント本を通してタレント本人を紹介している。それは凡百の「美談」や「知られざる素顔」と銘打たれた駄作たちとは一線を画す。そこに描かれているのはまさにリアルな「伝説」達である。<BR> 紙質以外は何の問題もなく1155円に配送料300円を足しても十分おつりのくる本である。<BR>※どうしても配送料が気になる方は「この本を買った人はこんな本も買っています」に出てくる浅草キッド本か吉田豪本を一緒にお買い求めください。損はしません。<BR>
この本は芸能界の偉人達に対する、博士の愛情と尊敬の念が詰まっています。<BR>自分を伝記作家と豪語する博士。自分を含めキッド・チルドレン達は、きっと永世に渡って昔話や童話のように、<BR>この偉人たちの生き様を子供たちに語り継いでいくことでしょう。ブックオフの105円コーナーからタレント本が消える日も近い。