ライブドアがフジテレビを買収するかもという事件があって以来、今回の楽天にしても、インターネットのブロードバンド化でなにがおこるのか今ひとつわからなかったところを、クリアーに整理して教えてくれるのがこの著書だ。この議論は通信・放送のインフラの話とメディアがどうかわるのかという点・コンテンツ流通がどうかわるかという点など、ビジネスのレイヤーが上位・下位にわたり、なかなか全体を見渡せる資料がなかったが、非常に丁寧に教えてくれる。さすがデジハリの大学院講義をベースにしていると感じさせる。
「TBS VS 楽天」「フジテレビ VS ライブドア」など放送と通信の融合を巡る動きが激しいが、実際に何がどう変わるのかを提示する発言や書物はなかった。本書はこの問に真正面から答えてくれる。放送と通信の融合による利用者のメリットから始まり、ビジネスモデルの変化や業界再編にいたるまで、具体的に分かりやすく解説している。著者がデジハリ大学の教授ということもあって、表面的な事象だけでなく、放送と通信のそれぞれの歴史的経緯をたどりながら、コンバージェンス(融合)の本質を鋭く指摘し、メディア・マーケティングの将来を大胆に予測する。表現が平明なため一般のビジネスマンでも気軽に読める一冊だ。
「フジテレビ VS ライブドア」「TBS VS 楽天」など、放送と通信(ネット)の融合を巡る動向の本質を理解するのに必読の一冊。放送と通信が融合(コンバージェンス)すると何がどう変わるのかを多角的に分析し、将来のメディア像を大胆に予測している。ライブドアや楽天の買収提案で具体的な経営改革提案がなかったことに疑問を持った人も多いはず。その疑問に真正面から答えている。著者がデジハリ大学院の教授であることもあり、放送と通信の歴史を紐解きながらメディア・マーケティングのあり方を提示する章も読みごたえあり。