発売日を楽しみにしていたのだけれど、正直、今一歩、といった感が強かった。<BR> 欠点のひとつは、多くの作品を網羅したがため、ひとつひとつに対しての掘り下げが浅くなってしまっている点か。テレビシリーズの○○話が放送禁止、といった作品の場合、下手をすると文章の七割方を(問題の○○話ではなく)シリーズ全体の基本設定の説明に割いていたりする。<BR> 先行した類書、『封印作品の謎』だと、逆に掘り下げは深いものの紹介作品が少ないことが欠点でもあったので、そこは痛し痒しではあるのだけれど。<BR> しかしそれならば,「そもそも放送禁止作品じゃないだろ」と言いたくなる作品にまでページを割くのはどうか。「再放送されないので放送禁止ではないかと噂されていたが、最近DVDが発売された」なんて肩すかしがどうも目につく。ビデオもLDもDVDも出ている『アイアンキング』なんて、どう考えたって放送禁止作品でも何でもないだろう。<BR> むろん、読んでいて面白い部分は多々あったし、ひとりでこれだけの作品をカバーしたことは評価されてよいとは思うのだが、期待も大きかっただけに、点数も辛くなってしまう。
マニアには情報量の点で不満が残るかも知れないが、いろいろなジャンルにわたって1作品につき見開き2頁でコンパクトにまとめているので、読み易い。長らく疑問に思っていたTV版『子連れ狼』第2話の件が氷解して、筆者としては至極満足です。作品の制作コンセプトをきちんと記述している点も、当時の時代背景を理解する助けになるので○。先に『封印作品の謎』という書が刊行されているため、評価が辛くなりがちだけれども、これはこれで相当な労作だと思います。「よい本」です。
取り上げた全ての作品について見開き2ページで解説する、というのがそもそも無理だったのではなかろうか。むしろ重点的に取り上げたい作品を「時代劇」「子供番組」という区分そのままに数点ずつ選んで取り上げ、その他については1ページ3作品程度のペースで一覧としてまとめておけばかなり違った出来栄えになったであろう。それともう一つ、やたら「○○ページ参照」があるのに、肝心のノンブル(ページ数字)が内側振り、それも柱(誌面上)側であるため、探しにくいことこの上ない。労作であることが感じ取れるだけにもったいないところ。<BR>とまあ厳しい感想を書いておくが、例の「大全」シリーズ同様「『大全』を名乗っただけのことはある(つまりは逆にそういうリファレンス的な意義しか見出せない出来栄えなのが問題なのであるが)」ということで及第点。<P>ある意味、一番の見所は帯に掲載された「当事者」たる実相寺昭雄監督の一言なのかもしれない。