建築家吉村順三が愛した軽井沢に建築した名作「軽井沢山荘」を、自ら解説した本です。著者がこの建築に求めたものが「自然とともにあることが感じられる質素で気持ちの良い場であること」であっただけに、あの有名なキノコ型の外観も、奇抜なデザイン性を求めた結果でなく「自然とともにある」という目的から来る必然性があったことがわかります。また「気持ちの良い」ものとするために「階段の踏み台を6㎜下がるように作って不安感をなくす」といった細かい工夫までが解説されているのですが、詳細な図面がついていますので、私のような建築素人にもわかりやすくなっています。<BR>また、軽井沢という町と共にあることを求めた別荘だけに、春夏秋冬の別荘と自然の姿や、別荘周辺の名所が美しい写真で掲載されていますので、簡単な軽井沢ガイドとして楽しむこともできます。<BR>ページを繰るたびに、この軽井沢山荘を基点に、気持ちの良い生活が営まれたのだろうなあと感じられ、こちらまでが幸せな気分に浸れる素敵な本です。
何度開いても、見飽きることのない珠玉の建築絵本。建物に向かってゆるやかにカーブするアプローチの写真を見ただけで、湧き上がってくるわくわく感を抑えることができません。懐かしさのような、探していたものにようやく巡り合えたような、不思議と嬉しい感情が湧き上がってくるのです。二階が大きく張り出して屋根のようになっているその下のテラスには、ちっちゃな椅子が置いてあって、テラス用の暖炉もそこにはあります。そして、一階の扉を開いて階段を登ると、こじんまりとしたリビング。そこから見える風景といったら・・・