バフェットの歴史を客観的に綴ることによって<P>よりバフェットの素顔に近づけた気がしました。<P>大富豪のイメージと違って波瀾万丈なこともなく<P>堅実に投資を愛する姿勢に胸をうたれました。
バフェットと言えば世界有数の富豪であり、投資家ですが、彼が自己の投資対する概念が、本書では詳しく述べられています。<P>彼が子供の頃から、「お金を増やす事」に異常な才能を発揮し、長じて後も、少ない元手から現在の資産を築きあげました。<P>その考え方は、「真に成長するであろう企業」を見つけ、長期的に投資をすることでした。<P>彼は、「支払う金額に見合わない価値のものに投資する事はあり得ない。値上がりを期待して差額を儲けようとするのは投機である」と考え、実際にそのような投機的行為はしていません。<BR>「良い価格で手に入れる事ができ、信頼ができ賞賛すべき人々によって順調に経営されている企業を売却しようとは思わない」という言葉はまさにコカコーラに当てはまります。<P>「金儲けが好きなのではなくて、お金が増えていく過程を見るのが好きなんだ」という彼の言葉や、<BR>子供に金を貸す時にでも正式な金銭賃貸契約書を書かせる姿勢に、彼の投資哲学がうかがえます。<P>本書を読むと、投資と投機の違いが明確にわかるのではないでしょうか
金融人に知らない人はいない、かのオマハの巨人「ウォーレン・バフェット」の投資哲学を伝えようとする本です。ウォーレン・バフェットと言えば、ビル・ゲイツに抜かれるまでは個人総資産額で全米(全世界?)トップだった御仁。彼の投資理論に興味を示す人は少なくないはず。<BR> 本書を読んで感じたのは、「卵をひとつの籠に入れるな!」と言い「効率的フロンティア」を標榜するモダンポートフォリオ理論の限界(否定をするのではなく)、そして、エンスージアストになった時の人間の集中力です。<BR> 彼の投資の基本は、分散投資をむしろ否定するもの。そして、熟知した企業にのみ投資をするというもの。よくよく考えれば、株という証券を通じて企業に投資をする行動が株式投資であれば、やはりこれが帰結すべきスタンスなのではないかと思います。<BR> 彼の投資哲学はマークトウェインの『とんまのウィルソン』の以下の文で言い表せそうです。「見よ、愚かなる者は言う、“全ての卵をを一つの籠の中に入れてはいけない。”しかし賢者は言うのだ、“全ての卵を一つの籠に入れよ。そして、その籠に注意を集中するのだ”」<BR> また、ゲーム理論的に捉えれば、彼が株価ボード等をオフィスに置かず、集中投資をする様は、「ゲームやゲームの関係者との情報交換、接触を遮断し」、「退路を完全に除去する」という戦略的行動を自らに科したと言えそうです。<BR> いずれにしても、他人の意見に迎合せず、自らの探究心に身を委ねる様には、時代や理論がどうあろうとも、それを超越する凄みを感じます。